勢、横綱に初勝利「できることやった」
「大相撲初場所・5日目」(14日、両国国技館)
小結勢が横綱鶴竜を引き落とし、8度目の顔合わせでうれしい初白星。2勝目を挙げた勢は横綱戦初勝利となった。横綱白鵬は碧山を上手投げで退け5連勝。通算951勝目として、北の湖と並ぶ史上4位となった。大関琴奨菊は小結栃ノ心を寄り切り、臥牙丸を上手投げで下した平幕の高安を含めて全勝は3人となった。
館内が大歓声に包まれた。勢が鶴竜と8度目の対戦で初白星。立ち合い強く当たり、瞬時に左を差すと、あわてた鶴竜の足がそろう。その瞬間を逃さず、鮮やかな引き落としを決めた。
今場所は結果を考えず、ベストを尽くすことに集中している。大きな白星も、その流れの中でつかんだ。「横綱に初めて勝てたことは自信につながるが、今日も精いっぱいできることをやった結果」と、冷静に喜びをかみしめた。
恩返しの白星でもあった。鶴竜の土俵入りでは太刀持ちを務め、巡業ではしばしば胸を出してもらっている。「いつも太刀持ちをさせてもらっているので、今日も思い切って飛び込んでいけた」と、しみじみ話した。
194センチ、169キロと恵まれた体に、今場所は精神面の強さも伴ってきた。打ち出し後の日課は、部屋の近所の散歩。「場所でマックスになった気持ちのまま、急に(一日が)終わるのではなくて、高めた気持ちを一度落ち着かせるために続けている」と集中力の維持に役立てている。
鶴竜に勝っただけでなく、初日には白鵬に冷や汗をかかせた。「(土俵の中で)耐えられるようになったし、残れるようになった。力がついているのを感じる」。脱皮の時がきた。