１６年リオデジャネイロ五輪で４度目の五輪出場を目指す馬場馬術の法華津寛（７４）＝アバロン・ヒルサイドファーム＝が２０日、都内で取材に応じ、リオが最後の五輪挑戦となる可能性を示唆した。

　３月には７５歳。１９６４年の東京五輪に２３歳で初出場してから、もう半世紀が過ぎた。リオに出場すれば、１９２０年アントワープ五輪のスバーン（スウェーデン、射撃）の７２歳１０カ月を抜き、五輪史上最高齢出場だが「出られりゃいいですね」と、あくまで自然体。「体力的な衰えはある。４年前ほど日々うまくなっているなと、思えなくなっているのは確か」と現状を分析しつつ「前回（ロンドン五輪）もそうだったけど、特に自信とかはない。成り行きに任せて」と、穏やかな笑顔で語った。

　日本馬術連盟によると、リオ五輪出場へは今後、対象の競技会２大会で一定の成績を収めた上で、５～６月に行われる見通しの日本代表選考会を勝ち抜く必要がある。決して簡単な道のりではない。

　ただ、新たなパートナーとの出合いが、挑戦を後押しした。７１歳で出場したロンドン五輪後、北京、ロンドン五輪をともに出場した愛馬ウィスパー号が左蹄付近を骨折。「なんとか治してやりたい」とリハビリに尽力したが、願いは叶わず。患部に炎症を起こし、１３年１１月に亡くなった。

　ただ、「自分が乗った中で最高の馬」と話していた愛馬は、次なる出合いを用意してくれた。ウィスパーのリハビリのために訪れたオランダで、旧知のトレーナーから１頭の馬を紹介された。それが現在のパートナー、ザズー号だった。「ウィスパーが最後と決めていたんだけどね。ついつい」。ザズーと競技に向けてトレーニングを積む中で、再び五輪に挑戦する気持ちになった。

　６７歳で出場した北京五輪以降、“じいじの星”と呼ばれてきた。昨年末に初孫のヒューゴくんが誕生。正真正銘の“じいじの星”となった。孫が物心つく頃には、２０年東京五輪がある。２０年、７９歳で迎える２度目の東京五輪に出れば、大快挙となるが「それは無理でしょう」と、笑いながら否定した。

　リオ五輪への挑戦が、馬術人生の集大成になる可能性は高い。同世代へのメッセージを問われ「何か目標も持って生きていけば、長生きされるんじゃないかな」と話した法華津。馬と共に生きてきた“じいじの星”が、新たな愛馬とともにラストステップを刻む。