宇良、無傷4連勝 関取グイッ
「大相撲春場所・6日目」(18日、エディオンアリーナ大阪)
奇手「居反り」で人気の西幕下2枚目、宇良(23)=木瀬=が、西十両13枚目の天風(尾車)を送り倒し、無傷の4連勝で勝ち越し、来場所の十両昇進に一歩前進した。綱とりに挑む大関琴奨菊は碧山を突き落とし、連敗を免れて5勝目を挙げた。大関稀勢の里、平幕勢の2人が全勝を守り、白鵬、鶴竜の両横綱ら6人が1敗で続いた。横綱日馬富士は嘉風に引き落とされ、2敗目を喫した。
172センチ、122キロの宇良が、184センチ、205キロの巨漢を転がした。立ち合い、低く潜り、天風の右足を取った。そして、土俵際の相手に速攻。土俵外に投げ飛ばすと、相手はゴロリと一回転して落ちていった。
自身より80キロ以上重い相手に「勝負ですから。勇気もくそもない」と気迫を見せた。「何が何でも勝ちたいと思っていたけど、技を正確に出すために冷静に」と、“アクロバット力士”の本領を見せつけた。
初めての十両の土俵で、力水などの所作も初体験した。「緊張した。呼び出しさんが教えてくれた」と、関取の“予行演習”もバッチリ終えた。
昨年、地元大阪で初土俵を踏み、自己最高位で凱旋(がいせん)。1年前「2年で関取」と目標を立てたが、1年も早くかなえそうな勢いだ。
関学大相撲部の恩師・石坪昭宏総監督は「125年の関学大の歴史で、初めてのプロが1年で…。努力のたまもの」と驚く。十両以上が着用する化粧まわしも「関学」仕様にする案はあるものの「勇み足になってはいけない」と話す。はやる気持ちを抑え、昇進が決まるのを待ち焦がれている。
来場所、十両昇進を確実にするためにも、あと1勝したい。「どんどん勝ち星を取っていけたら。(今場所は)まだ終わっていない」。地元の大声援に応え、春の浪速で宇良が関取をものにする。