稀勢の里、執念10連勝 唯一無敗死守
「大相撲春場所・10日目」(22日、エディオンアリーナ大阪)
初優勝を目指す大関稀勢の里は横綱鶴竜を大逆転の小手投げで撃破し、初日から10連勝を飾り単独トップをキープした。
大入りの場内は「うおぉー」と大歓声に包まれ万雷の拍手はやまなかった。稀勢の里が絶体絶命のピンチをはねのけ、気迫の大逆転星で鶴竜を突破した。
最近2勝2敗と五分の相手に強烈なのど輪を食らい後退した。両差しを許し土俵際に追い込まれながら、投げを右足1本で耐えた。必死に回り込むと抱えた右で小手に振り、起死回生の投げ。横綱を土俵外に飛ばした。
「良かったです。体が動いてくれた。思い切ってやりました」と会心の表情。執念かと問われると「そうですね」と力を込めた。
前日は琴奨菊の綱とりに待ったをかけ、最高ムードで運命の対3横綱戦に突入した。1人を倒し、11日目、迎えるは“大ボス”の最強横綱、白鵬だ。
13年5月場所以来、自身2度目の無傷10連勝。当時13連勝まで伸ばしたが14日目に屈し、優勝を阻まれた相手が白鵬。常に大きな壁になってきた敵だ。
「3年前より総合的に良くなっている。積み重ねてきたものがある。自信を持ってやっている」。今場所、朝稽古で稀勢の里は自らに言い聞かせるように繰り返してきた。八角理事長(元横綱北勝海)は「必死さが出ていた。横綱に2本差されて残ったのは大したもの。こういう1勝が大きい」と絶賛した。
悲願の賜杯へ状態は「まだ上がる」と手応えはある。「後半、勝負はこれから。思い切ってやるだけ」。元祖日本のエースの意地をかけ大一番に臨む。