五輪マスコットはどう選ぶ…

 旧エンブレムの白紙撤回から7カ月。紆余曲折を経て、ようやく大会の“シンボル”が決定した。20年東京五輪・パラリンピック組織委員会は25日、再選定を行っていた大会の公式エンブレムを発表。最終候補4案の中から、市松模様をモチーフにしたA案「組市松紋」(作者・野老朝雄)が選ばれた。

 旧エンブレムの騒動の“トラウマ”から、再選定においての過程では組織委は「透明性」の確保に腐心した。旧エンブレムの選考では、応募条件が国際的な七つのデザイン賞のうち二つ以上の受賞歴がある個人に限定されており、閉鎖的だったと批判された反省から、今回は応募資格を大幅に緩和。公募で1万4599作品が集まった。今月8日には最終候補の4作品を公開して国民から意見を募集。国内外の延べ4万人超から集まった約10万7千件のコメントを、各委員が最終審査で参考にしたと説明した。組織委の武藤敏郎事務総長は「選考の大きなテーマは『参画』だった。大変チャレンジングな取り組みだったが、今後のモデルになるのではないかと思う」と、胸を張った。

 ここで気になってくるのが、もう1つの大会の顔である公式マスコットをどう選ぶのかだ。マスコットは大会の2~3年前に発表されるのが通例となっている。1968年のグルノーブル冬季大会から導入されており、前回の64年東京五輪の時にはなかった。

 12年ロンドン五輪・パラリンピックのマスコット「ウェンロック」と「マンデヴィル」は1つ目だったことから「不気味」という指摘もあり賛否両論があった。14年ソチ五輪・パラリンピックの白熊のマスコットは、80年モスクワ五輪のマスコット「クマのミーシャ」を手がけた絵本画家ビクトル・チジコフ氏から「盗作だ」と批判され、物議を醸した。

 エンブレムのように最終候補4作品の商標調査を行えば、再び多額の費用が掛かる上に、ゆるキャラブームでキャラクターがあふれかえる日本において、オリジナリティーがあり、かつ愛されるマスコットを選ぶのはなかなか難しい。エンブレムの教訓を得て、どう選ぶか。関係者の手腕が問われることになる。(デイリースポーツ・大上謙吾)

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