原沢V逸もリオ決定 重圧で準決敗退
「柔道・全日本選手権」(29日、日本武道館)
リオデジャネイロ五輪の男子100キロ超級代表の最終選考会を兼ねて、体重無差別で行われた。最有力候補で前年覇者の原沢久喜(23)=日本中央競馬会=は、準決勝で上川大樹(京葉ガス)に優勢負け。昨年4月の全日本選抜体重別選手権以来となる黒星を喫し、連覇を逃した。ライバルの七戸龍(九州電力)も準決勝で敗れ、試合後の強化委員会では原沢が初の五輪代表に決まった。
悲願のリオ切符を手にしても表情は硬かった。連覇を逃した原沢は「本当に情けない」とポツリ。ただ、開幕まで100日を切っている大一番に向けて下を向いている暇はない。「選ばれたからには金メダルを取る覚悟を決めていく」と鋭いまなざしで宣言した。
積極的な柔道で国際大会7連勝を飾るなど右肩上がりだったが、この日はまるで別人だった。初戦から技が出ず、得たポイントもすべてが指導によるもの。「緊張しているつもりはなかったが体が動かなかった。重圧はこういうものだと勉強になった」。準決勝は、12年ロンドン五輪代表の足払いに体勢を崩され判定負け。対戦相手の上川は「今年から追われる立場になって、重圧で消極的になったのでは」と分析した。
男子代表の井上康生監督は「五輪本戦で戦うプレッシャーはこんなものじゃない」と元金メダリストとしてゲキを飛ばしながらも、「過ぎたことは仕方ない。これから技術も体力も伸ばせる」と先を見据えた。
日本柔道の花形である最重量級で、ロンドンで途切れたメダル奪還の期待が懸かる。同階級には前回金メダリストのリネール(フランス)が君臨するだけに、原沢は「(リネールは)頭2つ抜けてる存在。奇襲じゃないが、何か今までと大きく違うものを自分の柔道にプラスしたい」と“秘策”の用意も示唆。山下強化委員長は「まだまだ伸びる余地はある。金メダルを期待する」と23歳に託した。