桐生、ガトリンと真っ向勝負で9秒台だ
「陸上・セイコー・ゴールデングランプリ川崎」(8日、等々力陸上競技場)
大会前日の7日、有力選手が会見を行い、今季国内初戦に臨む桐生祥秀(20)=東洋大=は、男子100メートルで04年アテネ五輪金メダリストのジャスティン・ガトリン(34)=米国=との真っ向勝負を宣言。日本人初の9秒台の期待が懸かる男子短距離のエースが、2年前のこの大会で惨敗した世界のトップスプリンターに、成長ぶりを見せつける。
あの負けを忘れたことはない。ガトリンとの2年ぶり2度目の対決を前に、桐生が目を輝かせた。会見で隣に座ったアテネ五輪王者を見つめ「世界のトップランナーと一緒に走れるのは光栄。しっかり力を発揮して、悔いが残らない走りをしたい」と意気込んだ。
高校3年生だった13年。織田記念で日本歴代2位の10秒01をマークし、一躍スターダムにのし上がった桐生が世界の壁を体感したのが、2年前、旧国立競技場で行われたこの大会だった。向かい風3・5メートルの中、桐生は持ち味の加速が影を潜め、10秒46で5位。ガトリンは力の違いをまざまざと見せつけ、10秒02で優勝した。2人の差は距離にして約4~5メートルあった。
あれから2年。自己ベストこそ更新できていない桐生だが、培ってきたものには自信がある。あの差がどれだけ縮まったのか。「ガトリンとの距離を感じられる大会にしたい」と腕ぶした。
今季初戦だった4月のテキサスリレーでは向かい風1・4メートルで10秒24と上々の結果。その後はもう1度、冬場に行った坂道トレーニングなどで調整した。米国合宿で武者修行した名門ベイラー大で指導を受けた最初の3歩を大きな歩幅で出るスタートにも手応えを感じている。東洋大の土江コーチも「ガトリンといい勝負をする準備はできている」とキッパリ。思い描くガチンコレースができれば、悲願の9秒台も現実味を帯びてくる。