稀勢の里13勝 綱とりへ望み残した
「大相撲夏場所・千秋楽」(22日、両国国技館)
大関稀勢の里が横綱日馬富士を押し出して13勝目を挙げ、次の名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)へ綱とりの可能性をつなげた。二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は来場所綱とりを達成するためには14勝以上の高い星が必要との認識を示した。白鵬は鶴竜との横綱対決をうっちゃりで制し、12回目の全勝で14日目に決めていた史上最多37回目の優勝に花を添えた。
消えかけた夢をもう一度引き寄せた。稀勢の里は立ち合い思い切りよく踏み込み、左を差して突き放す。再度左を差して圧力をかけると、日馬富士はたまらず、腰が砕けて土俵を割った。
勝つと負けるとでは天と地ほどの差があった。二所ノ関審判部長は取り組み前「負けたら出直し。勝てば来場所につながる。14勝か15勝(で綱とりの話が出る)でしょう」と見解を示した。その大一番を会心の相撲で制し「思い切りいくことだけ考えた。来場所につながる相撲が取れた」と喜びに浸った。
先場所13勝を挙げ、今場所も3横綱のうち白鵬、鶴竜には不覚を取ったが、日馬富士を倒して連続13勝。八角理事長(元横綱北勝海)は「13勝、13勝は大きい。(今場所初日から)12連勝も立派だ。来場所が楽しみ」と、高評価と大きな期待を口にした。
初優勝を果たしていないため、今場所も来場所も明確に「綱とり場所」の設定にはならないが、今場所は結果として14勝を挙げれば審判部が昇進を話し合う段取りだった。連続13勝の実績が加味される来場所はさらにハードルが低くなる可能性があり、稀勢の里にとっては千載一遇のビッグチャンス。「またしっかり体をつくって、いい状態で名古屋に乗り込んでいきたい」。真夏の名古屋で今度こそ綱を決める。