競泳・金藤リオ金で中小企業の星になる
金メダルという恩返しの“ロケット”を打ち上げて「中小企業の星」になる。
競泳女子200メートル平泳ぎで、2大会ぶりの五輪出場を決めている金藤理絵(27)=Jaked。何度も引退の危機を乗り越えてきた苦労人は、今年4月の日本選手権で2分19秒65の日本新記録を樹立し、8月のリオデジャネイロ五輪の金メダル候補に躍り出た。今月行われたジャパン・オープンでも2分20秒93の好記録をたたき出し、日本代表の平井伯昌監督の口からは「1ストローク、1ストローク、金メダルに近づいている気がした」と最大級の賛辞が飛び出した。
復活の影には、下町にある社員61人の小さな企業があった。東京・墨田区に本社を置き、水泳帽を中心とした用具を製造・販売しているフットマーク社。今月、同社で金藤の壮行会が行われた。社員の半数以上が参加し、小所帯ながら手作りの応援ボードやビデオが用意され、笑いあり涙ありのアットホームな会となった。会の主役は涙を浮かべながら、「皆さんのおかげで金メダル候補として、代表の主将としてこの場に立てている。いい色のメダルを持って帰ってきたい」と約束した。
多くの選手が大手ブランドとの契約を結ぶ中、同社がライセンスを持つブランド「Jaked」の水着を着用しているのは、日本代表の中では金藤ただ一人。12年に社内で発足した金藤の応援団「りえっ娘(こ)倶楽部」で団長を務める長縄崇さんは「私たちは大手メーカーさんには勝てないので、隙間隙間を狙ってビジネスをしている。金藤選手はわれわれのような中小企業にとってのヒーロー。世界で活躍してくれて、本当に『下町ロケット』みたいなものですよ」と感情移入して見つめる。
大学を卒業した11年に、指導を受ける加藤コーチと同社の小林智也部門長が知り合いだった縁で「Jaked」の所属選手として契約。ただ、そこからの5年間は険しい道のりが続く。12年ロンドン五輪は代表から落選。さらに、ラストレースと位置づけた昨夏の世界選手権は6位に終わった。真っ先に思い浮かんだのは、毎年のように親身に応援してくれる同社の人々の顔。「応援してくれる皆さんの記憶に残る最後のレースが、これではあまりに情けない」。引退の意思を撤回し、リオ五輪で有終の美を飾る決心をした。
昨秋からは加藤コーチと覚悟を決めて猛練習に取り組んだ。年が明けた今年2月には7年ぶりに日本記録を更新し、4月には日本人初の2分19秒台をたたき出した。「今までは逃げてばかりいた。今度こそ100%言い訳のない水泳人生にしたい」(金藤)。
同社に所属後初の五輪本番に向けて、社内ではパブリックビューイングを検討中。また、長縄団長は「普段は地味な会社ですが、一丸となって夢を見させてもらってる。金メダルを取ってくれたら最後にみんなでビールかけをしたい」とど派手な祝杯プランを描いた。
27歳のベテランが、すべての中小企業の夢を乗せて、金メダル&世界記録という“ロケット”を飛ばす。(デイリースポーツ・藤川資野)
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