師匠の北の富士さん、千代の富士は「口は悪いが腹は悪くない」
元横綱千代の富士の九重親方(本名・秋元貢、享年61)が7月31日に膵臓(すいぞう)がんで死去した。東京都墨田区の九重部屋には1日、続々と弔問客が訪れ、部屋前には一般客用の記帳台と献花台も置かれた。
師匠だった解説者の北の富士勝昭さん(元横綱)は「千代の富士らしい顔でした」と沈痛な表情で語り、「千代の富士という力士は豪快だけど繊細。口は悪いが、腹はそれほど悪くない。涙もろいし。若いも何もこれからですよ。悔しい」と残念がった。
大鵬、北の湖、そして千代の富士。昭和を代表する横綱が次々とこの世を去り、「なんでだろう。強い人から順番に逝っちゃうだよな」と悲しんだ。
現役時代に数多く対戦した二所ノ関親方(元大関若嶋津)は「巡業では稽古もつけてもらった。力が強く、胸は鉄板みたいに硬かった。偉大な人が亡くなった。寂しい」と肩を落とした。
自転車の世界選手権スプリントで10連覇を誇り、親交があった中野浩一氏は「現役時代は口数が少なかったが、引退してからは明るくにぎやかだった。体力もあるし大丈夫だろうと思っていた」。WBC世界バンタム級王者の山中慎介(帝拳)は「フカヒレを一緒に食べたのが最後だった。周りと自分に厳しい方でアスリートとして学ぶことが多かった」と尊敬を口にした。