選手寿命伸び、女子にも超人 「五輪コラム」

 レスリング女子の伊調馨(58キロ級)が女子選手では史上初の五輪4連覇を果たした。4大会に出るには足かけ13年かかる。連続出場だけでも大変なのに、勝ち続けた偉業だ。吉田沙保里(53キロ級)は銀メダルで4連覇にあと一歩、届かなかったが、ともに日本が生んだ女子の超人選手だ。トップとして長期間にわたり活躍できる背景には、スポーツをめぐる環境の大きな変化がある。

 ▽プロ活動で競技力を維持

 五輪がまだアマチュアの大会だったころ、4連覇したのはセーリングのデンマーク選手と陸上のアル・オーター(米国=円盤投げ)の2人だけ。五輪のオープン化以降は陸上走り幅跳びのカール・ルイス(米国)が1996年アトランタで達成し、今大会の競泳でマイケル・フェルプス(米国)が200メートル個人メドレーでV4を果たした。

 オーターの全盛時はアマチュア規定が厳しかった。スポーツに絡む金銭の授受は厳禁で宣伝活動もご法度。金メダリストになっても競技だけでは生活ができない。連覇を断念して、生活のために引退する選手が多くいた。

 ルイスは五輪プロ化の申し子だ。84年ロサンゼルス大会で走り幅跳びを含むスプリント4冠を達成。陸上のほかタレント活動でも稼ぎながら、高い競技力をキープし続けた。36年ベルリン五輪で同じ4冠のジェシー・オーエンス(米国)が、後に賞金稼ぎの容疑でアマチュアから追放されたのとは対照的だ。

 フェルプスも競泳が生活の糧で、通算23個の金メダルを手にした。金メダルで豊かになり、その資金力を生かして天性の才能をさらに磨いた。好循環がルイスやフェルプスのような息の長いスーパースターを生んだ。

 ▽30代でなお進化

 華やかなルイスやフェルプスと違って、伊調や吉田は地味な競技で黙々と鍛え続けた。それでも競技生活をめぐる環境は徐々に整ってきた。メダルには各種団体から報奨金が出るし、CMなど各種イベントに引っ張りだこ。メダル有望競技だけに強化費補助金の額も他競技よりは多い。強さをキープしていれば、経済的にも潤う。

 一昔前までの日本の女子選手は結婚が決まると「寿引退」が普通で、出産後の現役続行は想定されていなかった。五輪の日本代表に複数のママさん選手が選ばれるようになった。ナショナルトレーニングセンターや国立スポーツ科学研究所が整備され、女子選手を医科学でサポートする体制も進んできた。

 伊調32歳、吉田は33歳。力が衰える30代になっても、世界のトップを競える時代になった。伊調のV4、吉田の健闘は日本女子スポーツの変革を象徴している。(荻田則夫)

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