「スポーツクライミング・世界選手権」（１７日、パリ）

　２０年東京五輪の追加種目に決まったスポーツクライミングで、２０歳の楢崎智亜（ともあ）＝栃木県連盟＝がボルダリング男子を制し、日本選手として初の世界王者になった。楢崎は１６年Ｗ杯ランク１位で、ともに三つの課題（コース）に成功したチェコ選手を試技数の差で退けた。１８日に行われた女子決勝では、今季Ｗ杯ランク２位の１９歳、野中生萌（みほう）＝東京都連盟＝が２位に入った。

　軽快な身のこなしで頂点に立った。楢崎が日本選手として世界選手権初制覇。東京五輪の追加種目に決まったスポーツクライミング界のホープは「やってやったぞという感じ。歓声がめちゃめちゃ気持ちいい。最高でした」と笑った。

　上位６人による決勝は、横っ跳びで突起物をつかむアクロバティックな動きや関節の柔軟性、高い技術力が要求される変化に富んだ課題（コース）設定だった。

　準決勝を６位通過し、１番手での登場を追い風にした。「自分でペースをつくれて（後続に）重圧をかけられる」。先に成功していくことでライバルを揺さぶった。

　一つ目の課題をクリアし、三つ目も成功。トップで迎えた最後の課題は、覆いかぶさるような壁を忍者のような身軽さで攻略した。同じく三つの課題に成功したチェコ選手を試技数の少なさで上回った。

　パワーや手足の長さを武器とする海外選手に対し、身長１７０センチの楢崎は「空中感覚やバランス感覚に優れている。それが自分の長所」と自負する。子どもの頃に親しんだ器械体操も生きているという。

　東京五輪の金メダルを目標に掲げる２０歳のクライマー。「これからどんどん活躍して『クライミングは格好いい』と憧れられる存在になりたい」と目を輝かせた。