遠藤 苦手の勢を下し1敗守る 平幕優勝への期待も膨らむ

 「大相撲秋場所・8日目」(18日、両国国技館)

 東前頭14枚目の遠藤が、過去6戦6敗と苦手にしていた勢を寄り倒して1敗を守った。大関豪栄道は嘉風を寄り切り、14年秋場所の大関昇進後は初めてとなる中日の給金直しで4度目のかど番を脱出し、単独首位をキープした。横綱日馬富士は千代鳳を上手投げで退け、平幕の隠岐の海は御嶽海を寄り切り、ともに7勝1敗。綱とりの大関稀勢の里は妙義龍を押し倒し、2敗を堅持した。

 まばゆいスポットライトを浴びながら、遠藤が高らかに完全復調をアピールした。立ち合い低く当たって左を差すと、故障をしていた足で土俵を蹴り、一気に前へ出た。勢の苦し紛れの小手投げに、下半身を踏ん張ってこらえ、最後は右前みつを取っての出し投げで崩して、もろ手で突いて寄り倒した。

 過去0勝6敗と苦手だったが、合口の悪さなど無関係の圧勝。「勝てないのは知っていたけど、特に悪いイメージとか、すごくやりにくいという感じはなかった」と涼しい顔で振り返った。

 左膝半月板と十字じん帯を損傷する大けがを負った昨年春場所から1年半。その間、酒量を減らすなど私生活まで節制を徹底し、治療とリハビリに取り組んだ。先場所までは、そんきょ、しこ、すり足という基本動作さえも満足にできない状態だったという。

 2場所ぶりの勝ち越しへ王手をかけただけでなく、上位との対戦がない幕内下位だけに、12年夏場所の旭天鵬(現大島親方)以来の平幕優勝への期待は膨らむ。「けがが良くなったので体が動いてくれる。けがが良くなったことに尽きる。優勝?それを聞いたら笑っちゃう。考えたこともなかった」。今は荒唐無稽に聞こえる優勝も、遠藤だからこそ夢を見させてくれる。

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