安美錦、千秋楽で勝ち越し決める「妻と抱き合って喜ぶよ」
「大相撲秋場所・千秋楽」(25日、両国国技館)
5月場所で左アキレス腱断裂したため先場所を全休し、十両10枚目に転落した安美錦が英乃海をはたき込みで下し、千秋楽に勝ち越しを決めた。
真っすぐ当たってのど輪で押し、相手の体を起こして最後は右に回って絶妙のタイミングで相手を落とした。
「とにかく手を伸ばして、引くときが来るからと。思い切って取れた」と、会心の一番を振り返った。
主治医と「無理しないこと」を約束し、強行出場。手探り状態の中、積み重ねた8勝。「一人で来られたわけじゃない。家族もそうだけど、治療してくれた先生とか、たくさんの人が喜んでくれる。家族が支えてくれた勝ち越しかな。今までで一番うれしい勝ち越し」と、かみしめた。
この日、「頑張って」と送り出してくれた娘に応えた。支え続けてくれた妻には頭が上がらない。
引退が何度も頭をよぎり、幕下陥落を考えれば怖かった。「こんなしんどいことしなくてもと思って、そのたびに妻が一言、二言かけてくれた。あれがなかったら『もういいや』ってなっていた。きょうは妻と抱き合って喜ぶよ」と笑顔で愛する人のもとへと帰った。