平尾よ、今はゆっくり休んで…つらかっただろう 東田哲也氏が盟友の思い出語る
53歳の若さで亡くなった平尾誠二氏と同学年のラグビー元日本代表WTB東田哲也氏(54)は、同志社大時代にともに全国大学選手権3連覇に貢献した。大工大高(現・常翔学園)時代は伏見工と、ワールド時代は神戸製鋼としのぎを削ってきた。高校時代から切磋琢磨(せっさたくま)してきた盟友との思い出を語った。
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平尾と初めて会ったのは高校2年の近畿大会だった。平尾が伏見工で、ぼくが大工大高。高校日本代表の合宿でもよく一緒になったけど、当時はあまり騒がず、よく一人で自室にこもっていた。
同大に進み、2人とも1年から公式戦に出た。大学で酒を覚えたからか、平尾もよく仲間と大騒ぎするようになった。学生なのに、夜の祇園に繰り出したのもいい思い出。お笑いが大好きで、今だから話せるけど、練習をさぼって、2人で吉本新喜劇を見に行ったこともあった。
社会人になり、平尾は神戸製鋼、ぼくはワールドに入社。同じ神戸で再びライバル関係になった。試合の後、飲みに行く店が一緒でね。よく、ばったり会った。
オフシーズンもよく飲んだ。ハロウィーンの仮装をして、夜の三宮を歩いたこともあった。濃い味が大好きでね。ギョーザや天下一品のラーメンが大好物だった。
最後に会ったのは数年前だったか-。ぼくが東京に転勤になるときに、送別会を開いてくれた。体調が悪いとは聞いていたけど、初夏に送ったメールに「良くなってきている」と返事をもらったのに…。『20日に大阪でウエールズ戦のメンバーが集まるから、一緒に会えないか?』とメールを送ったばかりだったのに…。
クールでクレバーなイメージが強いけど、ぼくが知る平尾誠二は、飾り気のない、ええやつだった。良き仲間で、良きライバルだった。平尾がいてくれたから、ぼくも頑張れたんだ。
あまりにも早すぎるけど、それだけ闘病もつらかっただろう。今はゆっくり休んでほしい。同じ時代を生きてこられたことを誇りに思うよ。平尾、本当にありがとう-。(元日本代表WTB、六甲クラブ総監督)