青学大3年連続往路V 原マジックで3冠&3連覇に王手
「箱根駅伝・往路」(2日、大手町~神奈川県箱根町芦ノ湖駐車場)
青学大が5時間33分45秒で3年連続となる往路優勝を果たし、総合3連覇と、出雲、全日本に続く大学駅伝3冠に王手をかけた。原晋監督(49)が3区に起用した秋山雄飛(4年)が直前までのスランプを払しょくし、区間賞を獲得する活躍でトップに立つと、そのまま逃げ切った。前回までの快進撃を支えた神野大地(現コニカミノルタ)の卒業などの不安要素を覆し、フタをあけてみれば今年も“原マジック”がさく裂した。
神がいないならつくればいい-。3冠に王手をかけた青学大の原監督は、そう言わんばかりに高笑いした。「サンキュー指数が39%だったのが、93%になった。復路で勝って139%になります!!」。神野が卒業し、戦力ダウンがささやかれた今回も原マジックは健在。各チームが往路に主力を結集してきた“青学包囲網”を正面から突き破った。
この日、神に仕立て上げられたのは大スランプ男の秋山だった。3区でタスキを受け取ったのは、トップと39秒差の2位。いつもなら焦るところだが、この日はいつもとひと味違う。「焦らないように、まずは富士山を見ながら走った。ここで抜いたらヒーローになれると。テレビでどう映ってるかとか、いつガッツポーズをしようかとか考えた」。前向きな気持ちが自然と足を動かし、湘南コースでトップに躍り出た。
昨年3区区間賞を獲得しながら、今季は練習から信じられないような悪いタイムを連発し、出雲駅伝、全日本駅伝にも不出場。体調が優れないため、夏に医師の診察を受けたところ「気管支ぜんそく」と診断された。吸引薬を服用し、走り方や調整方法を工夫したもののコンディションは上向かず、秋山は「気持ちが折れた」と絶望の淵に立たされた。
指揮官も「練習を見て(箱根駅伝の)10日くらい前までは500%無理と。秋山を使う可能性はゼロだった」と内幕を明かしたが、最後の可能性に懸け「魔法を使いました!!」。12月下旬に「監督から『湘南の神になれる』と前向きなことを言ってもらってスイッチが入った」と秋山。トレーナーからも「問題はフィジカルではなくメンタルだ」と助言を受け、吹っ切れた。「病は気から」という魔法のおかげで完全復活を果たした。
秋山の快走に救われたのは、2区を走ったエース一色。「自分の凡走を秋山が打ち消してくれた」と、土壇場で力を発揮した同期にサンキューを伝えた。復路に向けても勝利の方程式は盤石だ。準エース級の下田裕太(3年)、田村和希(3年)の温存に成功し、指揮官は「安心して戦える」と投入を予告。指揮を執って9度目の箱根路での3連覇&3冠へ。「サンキュー(3・9)大作戦」成功へ秒読み態勢に入った。