照ノ富士 史上9人目の新横綱V 時代到来!大関・三役置き去り独走
「大相撲秋場所・千秋楽」(26日、両国国技館)
新横綱照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=が2017年春場所、稀勢の里以来、史上9人目の新横綱Vを果たした。1差で追っていた平幕妙義龍が先に敗れ、2場所ぶり5回目の優勝が決定。結びの一番では大関正代を退け13勝目(2敗)を挙げ、有終を飾った。初日から一人横綱を務めた新横綱の優勝は戦後初めて。1度もトップを譲らず大関、三役を置き去りの独走で今年3回目の賜杯。はや年間最多賞も決め、照ノ富士時代の到来を印象付けた。
目の前で妙義龍が倒れVが決まった。土俵下の照ノ富士は険しい表情を全く変えなかった。王者としての結びの一番。立ち合いで左前みつを取って一気の寄り。正代をねじ伏せ、横綱相撲で締めた。
優勝インタビューでは「最悪、3番でも相撲を取る気持ちで来た」と明かした。大関から序二段まで落ち地獄を見た。だからこそ準備を怠らない。「相撲に絶対はない」と本割、決定戦、取り直しまで想定。修羅場をくぐった不屈の男は勝ち方を知り尽くしている。
新横綱Vはしこ名の由来となった部屋の大先輩、照国も師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も果たせなかった。双葉山、大鵬、貴乃花ら偉大な横綱に並ぶ偉業。「優勝することは本当に難しい。ありがたい。自分の一人の力じゃない」と、周囲の支えに感謝した。
昇進伝達式の口上で述べた「不動心」と「品格」。誓った言葉通り、「生きざま」を土俵で証明した15日間だった。終盤12日目、関脇明生に敗れた際、土俵下で左膝を気にするそぶりを見せた。
両膝の爆弾は常に危険と隣り合わせ。「大丈夫です」と歯を食いしばった。連敗はせず最後まで首位を譲らぬ完全優勝はまさに不動心。「これまでもこれからもずっとその気持ちでやっていく」と頼もしく言い切った。
膝に負担となる横綱土俵入りも常に豪快だった。ゆったりと華麗に初日から一貫して1分45秒前後。「うまくできたのかな、という不安もある」と笑うが、横綱をもう何年も張るかのような貫禄で連日、館内を沸かせた。
4年前は大関から落ち、体も気持ちもボロボロだった。引退を師匠に何度も申し入れたが止めてくれた。8月4日に日本国籍を取得した際、師匠の「杉野森正也」から名前をもらい、日本名を「杉野森正山」とした。
日本人として初優勝は師匠を超えるV5。「師匠を乗り越えた感じはない。いくら優勝して強くなっても師匠を超えることはできない」と師弟の強い絆。場所後の10月3日に晴れの還暦土俵入りに臨む師匠に花を添えた。
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