“氷上の哲学者”町田 突然の引退発表
「フィギュアスケート全日本選手権・最終日」(28日、長野ビッグハット)
羽生とともに男子フィギュア界を引っ張った町田樹(関大)が28日、電撃引退した。奇抜なコメントから“氷上の哲学者”と呼ばれた24歳。世界選手権代表として氷上で名前を呼ばれたものの、出てきた言葉は現役生活にピリオドを打つものだった。
リンクに立ち、マイクを持つと「今回、世界選手権代表発表の場に立つことができたことを光栄に思うと同時に、感謝の気持ちでいっぱいです。私事ではありますが、フィギュアスケート選手としての引退を本日、決断しました。つきましては、世界選手権の代表も辞退させていただきます」。会場はどよめきに包まれ、泣きだすファンもいた。
決断はこの日の朝だった。今後は来年4月から、早大大学院スポーツ科学研究科修士2年制に入学し、博士課程も視野に入れ、研究者を目指すという。発表後には報道陣の取材に応じ、持参した紙を読み上げ「フィギュアスケートをスポーツマネジメントの領域で考察する研究者として、社会から真に必要とされる人材となるべく、真摯に新たな道に歩んでいく所存です」と、プランを明かした。
今後もオファーがあれば、アイスショーには出演する。「約21年間の競技人生でしたが、何も思い残すことなく、誇りを胸に、堂々と競技人生に終止符を打てます」。唯我独尊の“哲学者”がリンクを去った。