絶対王者が悪戦苦闘した。フィギュアスケート男子の羽生結弦＝ＡＮＡ＝（２１）は、全日本選手権開幕を翌日に控えた２４日、ネクタイと“格闘”した。

　開会式の直前だった。最前列に腰を下ろした羽生は、ネクタイを解いて、結び直し始めた。完璧を求める絶対王者だけに、ネクタイの形が気になったのか。何度結び直しても、長すぎたり、短すぎたり…。

　開会式が刻一刻と迫ってくる。報道陣の注目が集まる中、ついに諦めた羽生は、横にいた先輩の小塚崇彦（２６）に助けを求めた。小塚先輩は、いとも簡単にネクタイを結ぶと、余裕をもたせて首から外し、締めるだけでＯＫの状態で羽生に渡した。

　先輩のヘルプでなんとかネクタイを結ぶことができた羽生は安どの表情。まだ２１歳。どこかホッとする、素顔の絶対王者だった。（写真と文＝デイリースポーツ・開出牧）