マエケン「最悪の試合」試合途中にベンチ立ち去る…降板後に無残な逆転負け
【2012年5月21日付デイリースポーツ紙面より】
「交流戦、広島4-5日本ハム」(20日、マツダ)
広島・前田健太投手(24)の7回6安打無失点の力投は報われなかった。4点リードの九回、ミス連発にサファテの乱調で悪夢の大逆転負け。リーグトップタイの5勝目を逃したエースは試合途中にベンチを引き揚げ、失望をあらわに。試合後は「最悪の試合」と、怒りを隠さなかった。
信じられない悪夢の連続をもう目の前で見ていられなかった。小窪の一塁への悪送球で逆転の5点目が入ると、前田健は試合途中にもかかわらず、ベンチを引き揚げロッカーへ消えた。
「チームとして100%勝たないといけない試合。1‐0、2‐0なら仕方ない。4‐0、2アウトからひっくり返されてはいけない。(この試合を)勝ち切れないのに上位には行けない。チームとして最悪の試合」。エースが試合後、怒りを抑え切れず、言ったのも無理はない。
4‐0の九回、あとは勝利の瞬間を楽々と見守るのみのはずだった。3万1185人の大入り観客の前でヒーローインタビューも予定されていた。だが、笑顔は徐々に失われていった。
今村が1死から梵の失策で走者を出すと、2死二塁から二岡の適時打で3点差。糸井に死球を与えて一、二塁となったところで守護神・サファテにバトンは渡った。
だが止まらない。小谷野に2点二塁打で1点差とされると、前田健は心配そうな表情。そして、不安は的中する。田中に四球後、中田には左翼越えの同点二塁打。5勝目が消えた。その瞬間、思わず「おーっ」と失意の声を出すとぼう然と、グラウンドを見つめた。
力投がすべてフイとなった。前回13日の中日戦(マツダ)はマウンドの状態が悪く5回4失点で降板。「2回連続でマツダでファンに打たれる姿は見せたくない」。1‐0の四回、無死二、三塁のピンチも無失点で切り抜けるなど、気迫はみなぎっていた。
7回6安打無失点は報われなかった。「僕にとって、先発にとって1勝するのがどれだけ難しいか。勝つのにどんだけ苦労するか。悔しいというか。今までにない気持ち」と失望を口にした。
今季の最大目標に「ビールかけ」を掲げたエース。悲痛な叫びとともに、チームの借金は6に再び膨らんだ。