鈴木愛10年タッグ結実での最年少V
9月の女子ゴルフツアー「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」で、鈴木愛(20)=フリー=が大会最年少の20歳128日、初出場初優勝を果たした。日本のゴルフ史に残る歴史的な快挙。そこに至るまでの道を共に歩んだのが、コーチの南秀樹さん(40)だ。徳島出身の新ヒロインとの二人三脚は続く。
鈴木がクラブを握ったのは、11歳の時。ゴルフを始めていた妹・花奈さんが練習している間、留守番をするのが嫌で一緒にやるようになった。
当時、南コーチは徳島県内のゴルフ場でレッスンをしていた。週に1回、鈴木を指導するようになった。
「持って生まれた体幹の強さ、そして足腰のバネが素晴らしかったですね」と出会った当時を振り返る。
普段から明るく、負けん気は人一倍。「一緒にラウンドするときは、スコアが100くらい違うのに、私に勝つ気満々で来ていた」というほどだった。
そうした性格や肉体的な素質をゴルフに反映させるために、より厳しく指導した。何度も話し合いを重ねて、鈴木が納得することで信頼関係が生まれた。
通常の練習は3時間ほどで、そのうち1時間はパット練習を繰り返した。「いつも『ストロークを見てください』と言ってきていました」。鈴木の持ち味であるパットの基本は、そうして培われた。
鈴木は15歳で徳島を離れて、鳥取の倉吉北に進学。距離は離れたが、2人の信頼関係が変わることはない。
昨年プロテストに合格。オフには鈴木から「フェード系のボールを打ちたい」と相談を受けた。元来のドローからショットの改良に取り組み、飛距離が伸びたことがスコアアップにつながった。
日本女子プロ優勝後は、連戦や取材などで疲労が目立った。それでも日本女子オープンは5位と奮闘した。
11月には香川のエリエールGCで「エリエール・レディス」が開催される。四国での大会を控えて、鈴木は「優勝争いに絡みたい」と張り切っている。さらに国内メジャー「リコーカップ」もある。
限りない可能性を秘めた20歳のヒロイン。10年間見守ってきた南コーチは「パターでギャラリーを沸かす技術は、他の選手にないもの」と評する。そして「人として、ゴルファーとして、さすがに日本一のタイトルを取った選手だと言われるように頑張ってもらいたい」とエールを送った。