前田、人生変える!逆転Vへ1打差3位
「伊藤園レディース・第2日」(15日、グレートアイランドC=パー72)
2位から出た前田陽子(29)=フリー=が5バーディー、2ボギーの69と伸ばし、通算7アンダーで首位と1打差の3位につけた。09年から昨季までの5年間はレギュラーツアー出場はなし。生活のため今年1月まで地元・徳島の段ボール工場で働きながら練習を重ねた苦労人が、逆転でツアー初優勝をつかめるか。首位は原江里菜(26)=NEC=と藤本麻子(24)=富士通=が並び、前田と同じ3位に西山ゆかり(32)と笠りつ子(27)が続いている。
間もなく迎える三十路(みそじ)を前に、前田にビッグチャンスが訪れた。前半で1つ伸ばすと、後半は14、15番で連続バーディー。17番では15メートル以上の長いパットを沈めた。初日のツアー自己最少タイ68に続いてこの日は69。「この2日間、ここまでうまくいくとは思ってなかった」。首位と1打差で最終日を迎えることになり、目の前にツアー初Vがぶら下がった。
アマチュア時代は目立った活躍はなく、06年にLPGA(日本女子プロ協会)に非会員登録してプロ転向。08年に5度目の挑戦でようやくプロテストに合格した遅咲きだ。しかし、出場機会に恵まれず、生活費を稼ぐために、昨年まで8年間、地元・小松島市内の段ボール工場でアルバイトしていた。「安全靴を履いてヘルメットをかぶって、野菜箱の生産ラインでのり付けやパレットへの詰め込みなど、最終工程をやってました」。勤務は午前9時から午後4時まで。当初750円だった時給は、最後は810円まで上がった。
キャップのつばにはそのときの縁で『nepia』のロゴ。今も応援してもらっている。昨年の最終予選会で12位に入り、初めてツアーフル参戦した今季は、前週まで32試合に出場して予選通過19。1042万666円を稼いで賞金ランク68位にいる。「不安ばかりで予選通過なんてできるのかと思ってた。だから意外。ビックリしてます」と謙虚に話す。苦労を重ねた20代最後の年に、人生の“激変”が待っているかもしれない。