光里、ツアー初V 悲願達成で大粒の涙
「フジサンケイ・レディース・最終日」(26日、川奈ホテルGC富士C=パー72)
3位から出たプロ3年目の藤田光里(20)=レオパレスリゾートグアム=が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算7アンダーで悲願のツアー初優勝を果たした。最終18番でグリーンエッジから5メートルをパターで沈め、勝負を決めるバーディーを奪った。1打差の2位は松森彩夏、一ノ瀬優希、イ・ボミ、表純子、金ナリ。イ・ボミは出場4試合連続の2位で、連続2位の新記録だった。
グリーンエッジから5メートルの“バーディーパット”が脱皮への階段になった。「下り、フック。絶対ショートしない」。藤田光がパターの芯で捉えたボールは、思い描いた通りにカップに消えた。
大ギャラリーから大歓声が沸き上がる。その真ん中で新ヒロインは大粒の涙をぬぐった。5回目の最終日最終組でつかんだ栄冠。「頭が真っ白になってしまって…。素直にうれしい」。初々しい笑顔が喜びで輝いた。
ツアーに本格参戦した昨年8月以降「ゴルフをやめたい」ほどスイングで悩んだ。シーズン終了後も「どう振っていいか分からない」とクラブを持てなかったが、ふと顔を出した後援会のコンペで出口を見つけた。「練習しなくても球は真っすぐいく。練習すればもっと…」。結論は考えすぎず楽しく。母・美香さん(46)は「今日あの子が初めて人前で泣くのを見ました」と目頭を押さえた。
先週、プロ8年目で初優勝した道産子の先輩・菊地絵理香、今週優勝争いをした同期の松森から刺激を受けた。「絵理香さんから最後まであきらめない気持ちを学んだ。彩夏には絶対負けたくないと思いました」。この優勝で人気も実力も兼ね備えた正統派美人プロへの期待は大きく膨らむ。「いつかは賞金女王に」。18番で5メートルを沈めた瞬間、藤田光が厚いカベをひらりと越えた。