永野魂身3位 熊本のため懸命のプレー

 「男子ゴルフ・東建ホームメイトカップ・最終日」(17日、東建多度CC=パー71)

 熊本県出身の永野竜太郎(27)=フリー=が7バーディー、2ボギーの66をマークし、通算12アンダーで3位に食い込んだ。地震で大きな被害を受けた故郷への思いを胸に奮闘した。金庚泰(韓国)が通算13アンダーで並んだ近藤共弘とのプレーオフを3ホール目で制し、今季初優勝、通算11勝目を挙げた。

 偉大なレジェンドのゲキが猛チャージへのスイッチだった。永野はハーフターンで日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木功会長から言葉をかけられた。「大変だろうが、熊本のために頑張れ!」。言葉とともに熱い握手。若武者は全身に新たな力が湧き上がるのを感じた。

 「青木さんに背中を押された。地元の大変さに比べたら、ゴルフの試合くらいでへこたれていられない」。第2打を3メートルにつけた11番から連続バーディー。14番では4メートルを沈め、15番では第2打を50センチにつけた。最終18番も6メートルのバーディーパットをねじ込んで、最後の最後まで優勝を追いかけた。

 地震の被害が大きかった熊本県益城町出身で、地元のために懸命のプレーを続けてきた。現在、実家は熊本市内にあるが、母・益美さん(54)、祖母・節子さん(81)は地震後、車の中での生活を強いられている。「今週は不思議な力ももらった。優勝できれば自分としても、地元にとっても一番いい形だったんですが…」。悔しさと達成感。ふたつの感情の間で若者の心が揺れた。

 ツアー初優勝はならなかった。地元へ朗報を届けることも先延ばしになった。だが、被災した故郷への思いを胸に戦った経験はかけがえのない財産になるはず。「この試合のことはこれからもずっと忘れないし、忘れちゃいけない」。これで終わりではない。深く澄んだ瞳がそう語っていた。

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