芥川賞「共喰い」映画化、作者も楽しみ
作家・田中慎弥氏(39)の第147回芥川賞受賞作品「共喰い」が映画化されることが28日、分かった。監督は映画「東京公園」で第64回ロカルノ国際映画祭(スイス)でグランプリを獲得した青山真治氏(48)が務め、主演はオーディションを経て俳優・菅田将暉(19)が選ばれた。9月にクランクインし、来年の夏に公開となる予定だ。
「もらっといてやる!」のスピーチで話題をさらった、田中氏の芥川賞受賞作品「共喰い」が映画化されることになった。ロカルノ国際映画祭のグランプリなど国内外で高い評価を得る青山監督との豪華タッグだ。
作品は、人間の暴力と性をむき出しにする濃厚なストーリー。主人公、高校2年生の遠馬が日常的に父の乱暴な性交場面を目の当たりにし、父の血が流れることに恐れを感じながらも同じ学校の千種と同じような暴力的な性交をしてしまうことから展開される。青山監督も脚本家から作品を紹介され、「一読の感想はズバリ、他人に撮られたくない」と、名乗りを上げたほどだ。
遠馬役はオーディションを経て、史上最年少の「仮面ライダー」としてデビューしドラマなどで活躍する若手の成長株、菅田が射止めた。さわやかイメージの菅田だが、今作ではぬれ場にも初挑戦。激しい暴力的な表現も伴うが、「イメージをガラッと変えられる作品と予感してます。濃厚で生々しい世界観を持つ作品への挑戦が、役者として男として深さをもたらしてくれる転機と信じたい」と、俳優として一皮むける覚悟で挑む。
また、田中氏にとっても自身の作品が映画化されるのは初めて。「万人受けするストーリーではないと思いますが、そのように限定された世界が映画によってどのように広がっていくのか、原作者として読者として、観客として楽しみにしている」とコメントを寄せている。ほかに木下美咲(22)、光石研(50)、田中裕子(57)らが出演。