桑名正博 御堂筋パレードで天国へ
今月26日に104日間の闘病の末、心不全で亡くなった歌手・桑名正博さん(享年59)の葬儀・告別式が30日、大阪市内で行われた。式後には桑名さんのひつぎを乗せた車列が御堂筋をパレードし、ファン約5000人が沿道で「正やん、ありがとう!」と桑名さんに最後の別れを告げた。法名は、明月院釋響流(みょうげついんしゃくこおる)。
大阪の繁華街・道頓堀にかかる橋を桑名さんの遺影を乗せた車が通過した。
「桑名!」「桑名さん、さよなら!」‐1人が声を上げるとまた1人、別れを告げる声が増えていく。声は重なり、絶叫のようなこだまとなった。
桑名さんが愛した大阪の街並みを最後に見せてあげたいという親族らの思いから実現したパレード。ベンツのSUV「ゲレンデ」に遺影が掲げられ、霊きゅう車を含む約10台が、大阪市役所付近を出発、御堂筋を走った。
道頓堀周辺には午後2時ごろから「セクシャル・バイオレットNo.1」「月のあかり」など、桑名さんの歌声が流れた。人々は音楽に呼ばれたように集まり、午後2時半ごろには2000人近くにふくれあがり、阪神タイガースの優勝時をほうふつとさせる人だかりが出来た。音楽を流した近くの沖縄風飲食店「ずみっ!」の店主は、桑名さんと小さいころからの知り合いで「毎日来てくれたころもあった。ライブもやってくれたからね。追悼の意味で曲を流したかった」と話した。沿道には約5000人があふれ、斎場に向かう桑名さんを見送った。
直前に営まれた葬儀では、お祭り好きな桑名さんに届けと、長男の美勇士(31)らが、代表曲「月のあかり」を合唱、30年来の友人でギタリストの原田喧太(42)が弔辞を述べた。美勇士は「全てのお金を使い切って亡くなりました。家族からしたら『ふざけんな、コラ』ですが、皆さんのおかげで立派な式ができました」と頭を下げた。
仲間に愛され、ファンに愛された桑名さん。もう、あの歌声は聞けない‐。