愛知・豊川信金立てこもり 男を逮捕
愛知県豊川市の豊川信用金庫蔵子支店立てこもり事件で、愛知県警は23日未明、支店内に突入し、監禁容疑で自称住所不定、無職長久保浩二容疑者(32)を現行犯逮捕、人質となっていた支店次長の加藤賢吾さん(41)ら職員4人を保護した。うち武山萌さん(19)が腕に軽い擦(す)り傷を負ったが、他の3人にけがはない。事件は発生から約13時間ぶりに解決した。
発生から13時間、事件は未明に解決した。23日午前2時45分ごろ、県警捜査1課特殊班(SIT)の捜査員らが2階の窓ガラスをバーナーで焼き切って開け、店内に突入。午前3時8分、1階のソファでうとうとしていた長久保容疑者を確保した。
隣にいた武山さんの両手をビニールひもで縛った上で、自分の左腕と結び付けていた。離れて座っていた加藤さんと職員の山本順子さん(27)とパート堀江洋子さん(55)は拘束されていなかった。店内には机やイスでバリケードを作っている場所もあったという。
事件直前には、同支店から約150メートル離れた別の信用金庫で、刃物を持った男が押し入っていたことが捜査関係者への取材で判明。男は何もせずに立ち去ったという。
県警は長久保容疑者が何らかの理由でこの信用金庫で事件を起こすことをあきらめ、豊川信金を選んだ可能性もあるとみて関連を調べている。
長久保容疑者は「野田総理の退陣が目的だった」と供述している。逮捕時、刃渡り11センチのサバイバルナイフのほか、ズボンのポケットに刃渡り10センチのカッターナイフを持っていた。
長久保容疑者は22日午後2時20分ごろ、現金自動預払機(ATM)を操作していた客で市内のパート木下祥恵さん(48)を羽交い締めにしてサバイバルナイフを突き付け、加藤さんら4人と計5人を人質に取り、立てこもった。県警には食料や飲み物などを要求。午後9時半すぎ、弁当と引き換えに木下さんを、両手をビニールひもで縛った状態で解放した。
長久保容疑者は加藤さんを通じて電話で県警と交渉。県警は加藤さんから少しずつ店内の状況を聞き出したという。