谷川九段、羽生3冠 大先輩の死に悲痛
独特の終盤戦術で一時代を築いた将棋の永世棋聖、米長邦雄(よねなが・くにお)日本将棋連盟会長が18日午前7時18分、前立腺がんのため東京都新宿区の東京女子医科大病院で死去した。69歳だった。
米長さんが無言の帰宅を遂げた都内の自宅には18日夕方、棋士の谷川浩司九段(50)や羽生善治3冠(42)らがそろって弔問に訪れ、約1時間にわたって悲しみの対面を果たした。
谷川九段は「突然のことで、まだまだお元気だったのに…。発想が大胆で、私たちより若々しい発想をされるのに感心させられてばかりでした」と偉大な先輩の、早過ぎる死を悼んだ。15日に入院中の米長さんを見舞ったばかりといい、「お話はできましたが、声に力がなかったんです。『わざわざ来てくれてありがとう』と言って下さった」と最後の会話を明かした。
羽生3冠は、1994年に米長さんと名人戦で対局し、4勝2敗で自身が勝利したときのことを振り返り、「(1局が)2日間のシリーズでしたが、ずっと正座をされてたんです。そこに掛ける気迫が印象に残っています」と畏敬(いけい)の念。「先生は将棋の世界の地位を向上していきたいと強く思って、行動されていた。その志を大事にして、残った後輩たちが頑張っていかないと」と米長さんの魂の継承を誓っていた。