明石家さんまやダウンタウン、ナインティナインら多数の芸人を抱える吉本興業が、新入社員採用の門戸を中卒者にも開放することが９日分かった。

　今春卒業する中学生、高校生を対象にした新たな採用を始めることを１０日、発表する。吉本ではこれまで大卒者を対象にした採用を行っていたが、創業１００周年を機に始めた動画配信サイト「ＹＮＮ」など、新しい時代の新規事業に対応するため採用基準を大幅に広げることになった。

　今年４月に創業１０１年目に突入する吉本が、“究極の青田買い”に着手する。

　同社では、今年１月１日から動画配信サイト「ＹＮＮ」を本格稼働させるなど、インターネット部門などの新規事業を加速させている。創業時からの理念でもある“おもろいこと”を追及する原動力は、若さや多様性、柔軟性であると確信。過去１００年の歴史では、ラジオ、テレビというメディアによって、笑いも変化してきたように、新たな１００年のスタートを切る今こそ、「変化する時代に多様性のある社員が必要」として、中卒者、高卒者の“やわらか頭”の新戦力を求めることになった。

　新たに門戸を広げるのは、今春、中学・高校を卒業する人たち、およびここ数年の間に中学・高校を卒業した人たち。例えば、高校在学中で採用試験に合格し入社した人の中で、勉強を続けたいという希望者には、定時制高校に通いながら、仕事をスタートさせ、卒業後に別の部署で活躍してもらうなど、柔軟な方法を見つけていくという。

　現在、吉本には関連会社を含めて、約１０００人の社員、契約社員らが在籍。「灘中、灘高、東大理学部卒業」という経歴の持ち主もいる。中には、中卒で芸人の弟子をしていたが、その後社員に転身した変わりダネも。これまでの新入社員採用は、大卒者を対象にしており、新卒者を中心に採用していた。

　なお、募集要項・諸条件等は１０日、同社のホームページで発表。採用予定は１０数人で、マネジャーから営業まで職種は多岐にわたる。社員もしくは契約社員として採用される予定だ。