團十郎さん通夜 遺体に「助六」の衣装

 3日に肺炎のため66歳で亡くなった歌舞伎俳優・市川團十郎(本名堀越夏雄=ほりこし・なつお)さんの通夜が5日、東京都目黒区の自宅で営まれた。遺体が納められたひつぎには、天国でも歌舞伎ができるようにと、團十郎さんが得意にした歌舞伎十八番の「助六」の衣装や「勧進帳」の巻物などが納められた。通夜には長男・市川海老蔵(33)と麻央夫人(30)、盟友だった尾上菊五郎(70)、坂東三津五郎(57)ら800人が参列した。

 歌舞伎俳優として命を燃やし続けた團十郎さんは、天国に行っても、歌舞伎俳優であり続ける。

 團十郎さんの遺体は紋付きはかまの正装でひつぎに納められた。ひつぎには七代目市川團十郎が定めた歌舞伎十八番の人気演目「助六」の着物と紫のはちまきが納められ、上には「助六」の脇差しや、やはり十八番のひとつ「勧進帳」の巻物と弁慶の数珠が置かれた。

 「助六」「勧進帳」ともにファンの間でも人気の高い、團十郎さんの当たり役。歌舞伎宗家として、常にけいこに精進し、歌舞伎道を究めた團十郎さんの代名詞ともいえる演目だ。この世を去っても歌舞伎俳優であり続けられるようにという遺族の思いが込められているかのようだった。

 團十郎さんの遺体が納められたひつぎは自宅にあるけいこ場に安置された。コチョウランで飾られた祭壇には。向かって右手に「助六」で使用する蛇の目傘、左手には高円宮さまから贈られた花が飾られた。

 関係者によると、スーツ姿の遺影は、「夫人画報」2008年7月号のために撮影されたもの。本来は希実子夫人とのツーショット写真だったものをカットしたということもあり、穏やかな笑みをたたえているという。ひつぎのそばには希実子夫人や海老蔵、長女の舞踊家・市川ぼたん、妹の舞踊家・市川紅梅らの親族が寄り添った。葬儀は神道の様式で営まれ、海老蔵が喪主を務めた。

 通夜・葬儀は密葬の形がとったが、会場となった自宅には約800人の知人、関係者らが参列し、團十郎さんの死を悼んだ。

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