役所広司“破たん者”役挑戦に燃える
俳優・役所広司(57)が、「告白」の中島哲也監督(53)とタッグを組み、映画「渇き。」(2014年夏公開予定)に主演することが6日、分かった。役所が演じるのは失踪した娘(小松菜奈=17)を捜索する元刑事の父親。最近は正統派の役柄が多かった役所が、目的のためには手段を選ばない狂気をはらんだ役に挑む。「パコと魔法の絵本」(08年)以来となる中島作品での“破たん者”役に「挑戦的で刺激的な映画です」と役者魂を燃やしている。
原作者の深町秋生氏(37)自身が「まず(映画化に)耳を疑った」という作品で、中島監督が「最低最悪の主人公」と表現する人物を名優・役所が演じる。「シャブ極道」(96年)では覚せい剤中毒のやくざの組長を演じたこともあるが、最近は「聯合艦隊司令長官 山本五十六」(11年)、「わが母の記」(12年)など正統派の道を突き進んでいただけに、破綻ぶりに驚かされそうだ。
役所が演じるのは元刑事で、妻と離婚し、現在は警備会社に勤める藤島昭和(あきかず)。失踪した娘を捜索するうちに自身の心の闇と直面し、狂気の世界に落ちてゆく。これまでにない破滅型の役柄に「壊れてしまった家庭を再生しようと、もがけばもがくほど、なにもかもが壊れていく。そんな愚かで、孤独な男のむなしさを演じたい」と意気込んでいる。
中島監督とは「パコと‐」以来5年ぶりのタッグ。妥協を許さない手法に緊張する一方で「挑戦的で刺激的な映画です」と中島ワールドに胸を躍らせている。「嫌われ松子の一生」(06年)や「告白」(10年)など、人の悪意を描くことには定評がある監督だけに、役所のダークサイドが最大限に引き出されそうだ。
話題作「進撃の巨人」は降板した中島監督だが「役所さんの勇気、小松菜奈さんとの劇的な出会いが、この物語の映画化を決意させました」と新作に意欲満々。共演者にも中谷美紀(37)、妻夫木聡(32)、オダギリジョー(37)、橋本愛(17)、二階堂ふみ(18)と実力派をそろえ、7日のクランクインに向けて「かつてないバイオレンス・ファンタジーを目指します」と気合十分だった。