【少年H】関西弁に初挑戦した水谷豊

 映画「少年H」が10日、公開される。反戦、家族愛、少年の自立…さまざまなテーマが含まれている同作で描きたかったのは何だったのか。3回連続で制作陣のインタビューを届ける。第2回は主演の俳優・水谷豊(61)。

 長い俳優キャリアの中で、水谷がずっと避けていたものがあった。それは関西弁での演技。「関西の人は変な関西弁でやられると許せないんでしょ。いとこが今でも京都に住んでるんですが、いまだに『本当にアレ(間違ったイントネーション)だけはやめてほしい』って言うくらいですからね」。関西人の“アレルギー”を十分理解しているからこそ、火中の栗を拾うことはしなかった。

 だが、そんなポリシーを曲げても演じたかったのがHの父・妹尾盛夫だった。原作にほれ込み「この父親をやるのはぼくだと思いました」と強い気持ちで出演を決めただけに関西弁も避けては通れなかった。覚悟を持って挑んだ現場。準備はしていたものの「芝居に感情を込めないといけないので、言葉にばかり気を使うわけにもいかない」と慎重に演技した。

 苦労のかいあって、原作者の妹尾河童氏からは「現在の言葉とは違うかもしれないが、当時の(神戸弁)はこれでいい」と太鼓判を押された。これには水谷も一安心し、「フィクションとはいえ実話ベースだし、今回は、うそに見えないっていうのが大事でした」と手応えを感じていた。

 言葉のみならず、神戸の街並みも見事に再現された。撮影は神戸の異人館、茨城県や韓国のオープンセットなどで行われた。Hの家の外観や間取りは妹尾氏本人のイラストを忠実に再現。空襲のシーンでは実際にセットを燃やし、一発勝負の撮影も行った。水谷は「いいセットでやると俳優の気持ちもうそにならない。素晴らしかったです」と絶賛。俳優、スタッフの職人魂がリアルな昭和の神戸を完成させた。

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