BEGIN“漂流ポスト”三陸に届けた
沖縄県石垣島出身の3人組・BEGINが11日、東日本大震災で津波に流され、昨年12月に故郷近くの沖縄県・西表島で発見された郵便ポストを、もとの設置場所・宮城県南三陸町歌津地区に届けた。このポストがテーマの新曲「歌津さきてけさい」を書き下ろしたBEGINは、この日「歌津復興夏祭り」のステージで同曲を初披露。地元の人たちも、2年5カ月ぶりに戻ってきた泥だらけのポストに大感激だった。
「おけ~り(お帰り)ポスト君!」。「歌津復興夏祭り」のオープニングで、BEGINのボーカル・比嘉栄昇(45)のかけ声とともに、漂流ポストがお披露目された。
ポストは、もともと南三陸町歌津地区のコンビニエンスストアに設置されていた。だが、2011年3月の東日本大震災の津波で流され、1年9カ月たった昨年12月28日に、直線距離で南に2400キロ離れた沖縄県西表島に漂着しているのが発見された。
このニュースを知った西表島の隣島・石垣島出身の比嘉が「何とか歌津に届けたい」と、両地区の関係者らによる“里帰りプロジェクト”に協力。郵便事業を管轄する新藤義孝総務大臣(55)と面会するなど奔走し、ポストの返還が実現した。佐藤仁町長(61)は「奇跡は起こる。復興に向け“あきらめない”象徴になる」と語り、人々はポストの里帰りを喜んだ。
「西表と南三陸がポストでつながった。日本中はつながっている」と比嘉。「それをわれわれ大人が子供たちに伝えなければいけない」と、南三陸町の子供たちがポストをテーマに書いた作文をもとに音頭調の曲「歌津さきてけさい」(宮城の方言で『歌津に来てください』の意味)を制作した。この日、同曲を初披露し、「今度は西表のお祭りでこの歌を歌いたい」とこれからもつながり続ける思いを語った。
ポストは、町の交流施設に展示される。