水川あさみ激白…避けてきた舞台に挑戦

 女優の水川あさみ(30)が、23日に初主演舞台「激動‐GEKIDO‐」(新国立劇場中劇場、9月2日まで)をスタートさせる。舞台は、過去に1度挑戦したが、そのときの苦い経験から「私には合わない」と避けてきた。しかし、7月24日に30歳を迎えた初仕事としてあえて選んだ、その思いを語った。

 女優として脂が乗ってくる30代を迎え、水川は1つのモットーを掲げた。「怖がらず、守りに入らず、挑戦していきたい」。そして、最初に選んだ仕事が舞台だった。

 苦い思い出がある。05年に一度だけ出演した「歩兵の本領」という作品でのこと。

 「期待しすぎた。『舞台をやると変われる』と聞かされたけど、何も見いだせなかった。毎日同じセリフを言うことに飽き飽きして…。私には向いてない。もうやらないと思った」

 勝手に“卒業”を決め込み、ドラマや映画の仕事に専念。舞台を恐れ、避けてきた。しかし、8年の間に、藤原竜也(31)ら共演した役者たちから再挑戦を勧められ、少しずつ気持ちに変化が訪れた。

 「舞台に出ているみんなが輝いて、映像の世界とは違う達成感を得られていることを目の当たりにして、興味がわいてきた」

 決め手になったのは、11年のNHK大河ドラマ「江」出演と、姉妹役を演じた宮沢りえ(40)の存在だ。

 「1年間1つの役をやると、役を超えたところで感情が出ることがある。りえさん演じる茶々が亡くなるシーンでは、リハーサルからボロボロ泣いた。芝居でこんな気持ちになるんだと気付いて、意識が変わった。そんなとき、りえさんから『怖がることじゃないから、舞台をやってみなよ』と言われた」

 宮沢といえば、今年5月の舞台「おのれナポレオン」で、主演の天海祐希(46)の代役をけいこ期間わずか3日で務め上げ、絶賛されたばかり。

 「りえさんはお芝居に対していつでも“ド真剣”で力を抜かない。そんなりえさんも30歳で初舞台をやったそうだから、私にとってもいいタイミングかな」

 初主演となる「激動」では、清朝の王女に生まれながら、第二次世界大戦で日本軍のスパイ活動に従事し「東洋のマタ・ハリ」と呼ばれた川島芳子の半生を演じる。

恋愛には慎重で地味 「本能に忠実に生きて、いろんな人を愛し、愛されたけど、本当に愛されたか分からず、愛に飢えた、悲しい人だと思う。孤独の中で愛を探し求めた女性の叫びを表現したい」

 多くの男性との恋愛も、濃厚なラブシーンを含めて描く。

 「あんなに次々と恋愛して疲れないのかな。私は恋愛には、かなり慎重で地味。なかなか好きにならない。でも恋愛は誰しもしたことがあるし、好きな人ができたらうれしいという気持ちは、一番共感が得られるはず」

 “男装の麗人”として活躍しただけに、水川の男装姿にも注目だ。写真として残る芳子は面長な目の大きな美形で、水川によく似ている。そう指摘すると「本当?でも美女と言われていたらしい。私も男顔だから軍服は似合うと思う」とちゃめっけたっぷりに笑った。

 座長としてのプレッシャーも感じるが、「幕が開くまでは、どうなるか分からないけど、何が起きても自分自身の問題。もう恐れることはない」。そう語る水川には、すでに芳子の力強い生きざまが宿っている。

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