十朱幸代“引退危機”乗り越え叙勲
バス通り裏から出発し、勲章に至った。政府は3日付で2013年秋の叙勲受章者を発表し、女優の十朱幸代(本名・小倉幸子=70)、俳優の渡哲也(本名・渡瀬道彦=71)、演出家で俳優の串田和美(71)らに旭日小綬章が贈られた。十朱はインタビューで引退の危機を幾度か乗り越えてきたことを明かし、受章を喜んだ。
十朱は「自分の体が動く限り女優の道を全うしたい。その励みになります」と喜んだ。
15歳の時、NHKドラマ「バス通り裏」でデビュー。テレビドラマが生放送だった時代に演技を磨き、映画や舞台に活躍の場を広げた。俳優だった父久雄さんの影響は大きく「演じる作品ごとに、父の好みかどうかが頭の片隅にある」と話す。
2010年春、足首の手術を経験した。引退の2文字も頭をよぎったが見事復帰。「恋愛で女優をやめようか迷ったこともありましたが」と笑い、「自分で道を切り開いていけるのが女優の面白さ。今も鮮度を求めています」と意気盛んだ。
渡は「私ごときに、思っていなかったこのような栄誉を賜り、驚きと同時に光栄なことだと思っております。これもひとえにお力添えくださった皆さまのおかげであり、感謝申し上げます」とコメントした。1965年に映画デビュー。映画「東京流れ者」「仁義の墓場」やドラマ「大都会」「西部警察」などの傑作に主演した。
串田は劇団自由劇場で「上海バンスキング」を、芸術監督を務めたシアターコクーンでコクーン歌舞伎を世に送った。10月18日、演出・主演の舞台「スカパン」初日終了後に急性胆のう炎で入院。「お芝居のことを考えると、体がどんどんどんどん回復した」と話し、5日後には舞台復帰を果たした。
受章の連絡を受けた時も稽古中で「忙しかったので何の賞かよく聞かなかった」と苦笑。今なお精力的な71歳は「活動をほめていただけたならうれしい」と謙虚に喜んだ。