愛知県警は４日、経営する焼き肉店で不法滞在と知りながら中国人らを働かせたとして、入管難民法違反（不法就労助長）容疑で、元大関琴光喜こと田宮啓司容疑者（３７）と、元力士の佐谷英治容疑者（３５）の２人を逮捕した。田宮容疑者は調べに対して「不法滞在とは知らなかった」と容疑を否認している。

　元大関が逮捕された。田宮容疑者は野球賭博に関与したとして、１０年７月、日本相撲協会から解雇された。昨年４月からは名古屋市西区で焼き肉店を始め、佐谷容疑者が営業を取り仕切っていた。

　逮捕容疑は、不法滞在の中国人の男を昨年８月から、タイ人の男を同１２月から今年１１月まで働かせ、不法就労活動させた疑い。県警は１１月に２人を入管難民法違反（旅券不携帯）の疑いで現行犯逮捕した。

　調べに対して、田宮容疑者は「不法滞在とは知らなかった」と容疑を否認。佐谷容疑者は「タイ人についてはビザがないと聞いたことがあるが、中国人については知らなかった」と供述している。

　焼き肉店の店員の男性は、逮捕に「びっくりした」と驚きを隠せない様子。スタッフの間にも動揺は広がっているものの「こういう時こそみんなでしっかりやろう」と話したといい、４日も通常通り営業した。

　店員の男性によると、田宮容疑者は毎日のように店に顔を出し「いつもにこにこして接客をしていた」という。事件の詳細については「弁護士の方に対応をお任せしているので、コメントは差し控えたい」とした。

　田宮容疑者は日本相撲協会から解雇された後、解雇無効を求めて東京地裁に提訴したが、９月の判決で請求を棄却された。