農薬混入事件、阿部容疑者「混入可能」
アクリフーズ群馬工場(群馬県大泉町)の冷凍食品農薬混入事件で、偽計業務妨害容疑で逮捕された工場契約社員阿部利樹容疑者(49)が逮捕前、全従業員を対象にした県警の聞き取りに対し、具体的な方法を説明しながら「農薬の混入は可能」などと話していたことが27日、捜査関係者への取材で分かった。農薬「マラチオン」が検出された全製品の製造日と、阿部容疑者の勤務日が一致していることも判明。県警は阿部容疑者が全ての混入に関与したとみて裏付けを進める。
混入されたのはマラチオンを含む農薬の殺虫剤。園芸用市販品とみられ、混入された冷凍食品からは同様の異臭が確認されている。
捜査関係者によると、今月上旬の聞き取りで、混入方法や原因を「自分の考え」として説明。逮捕後は事件について「覚えていない」と供述する一方、雑談には応じ趣味のアニメの話などをしているという。
工場関係者によると、今月上旬、休憩時間に同僚と雑談した際には「やれないことはない。いくらでもできるよな」と話した。しきりに携帯電話でニュースを確認する姿もあったという。
阿部容疑者は昨年10月3~7日に製造された種類が異なる4製品にマラチオンを混入したとして逮捕された。うち3製品はアクリ社の検査でもマラチオンが検出されていた7種類9製品の一部で、残る1製品は県警が独自に検出した。
パッケージには、製造日のほか、製造時間帯が「B1」(正午~午後2時)など7段階で記載されている。一方、工場従業員はタイムカードで管理され出勤簿があった。県警は製造日時と阿部容疑者の出勤簿を照合し、検出された製品全てへの混入が可能だったことが判明した。
県警は27日、偽計業務妨害容疑で阿部容疑者を送検した。上下灰色のスエット姿で、警察官に付き添われ太田署を出発。報道陣にちらりと目を向けた後、うつむき加減で車に乗り込んだ。
また、同県警は阿部容疑者が逮捕容疑以外の製品にも農薬を混入したとの見方を強め、偽計業務妨害容疑で立件する方針を固めた。