代役・筧利夫に市村から感謝の手紙届く
俳優の筧利夫(51)が2日、胃がん手術のためミュージカル「ミス・サイゴン」(東京・帝国劇場)を降板した俳優・市村正親(65)の代役として同舞台に出演した。自身の“初日”後のカーテンコールでは「いい芝居にしていくことが、一番の特効薬」と、入院中の市村へ熱演を誓った。舞台後の取材では市村から激励の手紙を送られたことも明かした。
市村が演じるはずだったエンジニア役を突貫工事で作り上げた筧が、舞台に臨む熱い思いを明かした。
舞台後のカーテンコールで「今日より明日、明日より千秋楽に向けていい芝居にしていくことが、術後の市村さんの一番の特効薬になると思います」と話し、病床の市村のためにも熱演することを誓った。
筧が出演を打診されたのは7月14日。当初は体調不良の市村をサポートする形で、駒田一(50)とのトリプルキャストになる予定だった。同18日ごろに1人で稽古を始めたが、同27日夜に市村ががんを告白して降板したため、急きょ代役が決まった。
代役決定からわずか5日での“初日”に、「こんなに短い期間で舞台に立ったのは初めてです」と苦笑いを見せた。2004年、08‐09年と2度エンジニア役を演じていたため、せりふや歌は頭に入っていたが、事前に他の出演者と合わせたのは2回だけ。「本番があるのに稽古に付き合ってくれて感謝してます」と共演者に最敬礼した。
関係者からは、市村が2日までに腹腔(ふくくう)鏡手術を無事に終えたことが発表された。筧は舞台後に市村からの手紙を受け取っていたことも告白。初日の祝福や感謝とともに、「あなたのおかげで救われました。千秋楽までけがのないように気をつけてください」と筧を気遣う内容だったという。
先輩からの激励に筧は「市村さんは『ミスター・ミュージカル』ですから、早く治してほしい。この公演の千秋楽(10月5日、横須賀市のよこすか芸術劇場)に戻ってきてほしいよね」とエールを送った。