ASKA被告 愛人・栩内被告と別の道
覚せい剤取締法違反と麻薬取締法違反の罪に問われた人気デュオ「CHAGE and ASKA」のASKA(本名・宮崎重明)被告(56)の判決公判が12日、東京地裁で開かれ、懲役3年、執行猶予4年(求刑懲役3年)の有罪判決が言い渡された。ASKA被告は閉廷後に「家族の支えのもとで人として立ち直り、健康を取り戻す」と決意を示したコメントを発表。ともに逮捕された愛人の栩内(とちない)香澄美被告(37)ではなく、家族との再起の道を選んだ。
黒縁メガネをかけ、黒スーツに黒のドット柄ネクタイのASKA被告は、じっと前を見すえたまま、判決を聞き入った。執行猶予付きの有罪が言い渡されても、視線をそらさず感情を出すこともなく、現実を受け止めた。
植村幹男裁判官は量刑理由を、「薬物に対する親和性、依存性は顕著かつ深刻で、常習性もかなり高度。麻薬も多量で、犯情はよくない。他方で、大きく報道され社会的制裁も事実上受けており、斟酌(しんしゃく)すべき事情もある」と説明。「判決の内容は分かりましたか?」と声をかけられると、「はい…はい」とかすれた声で答えた。
約10分間の公判の締めくくりには、地に落ちた大物シンガーへの説教が待っていた。植村裁判官は、「信じて支えてくれた家族や多くの人を、犯罪で裏切ったのです。あなたは社会のルールや周囲の人を顧みる姿勢はなく、自分本位で傲慢(ごうまん)な考え方が見受けられます」と厳しく非難。「社会の中で生きていく上で大切なのは何か、一から考えてください。それが裏切った人への、償いの第一歩です」と諭されると、やはりかすれ声で「はい」とうなずいた。
ASKA被告は、裁判官、検察官、傍聴席へ、それぞれ一礼してから退廷。直接、謝罪を口にする機会はなかったが、閉廷後に弁護士を通じて書面を発表。「判決を受け、罪の重さをあらためて認識いたしました」などと謝罪の言葉を並べ、「本日の判決を真摯に受け止めて、家族の支えのもとで人として立ち直り、健康を取り戻す決意です」と薬物からの脱却を誓った。今後も千葉市内の医療施設で薬物依存を断ち切るための治療を続ける。
先月28日の初公判では、愛人の栩内被告を「大事な存在」と表現し、まだまだ未練を断ち切れない様子で、不倫関係の清算を明言しなかったASKA被告。法廷で見透かされた「傲慢な考え方」を悔いあらためるかのように、再起に向けて“救い”を求めた相手はほかならぬ家族だった。
【以下、ASKA被告のコメント前文】
私は、本日、裁判所より、執行猶予付きの有罪判決を受けました。判決を受け、罪の重さをあらためて認識いたしました。
私は、現在医師の指導に従って治療を受けております。
本日の判決を真摯に受け止めて、家族の支えのもとで人として立ち直り、健康を取り戻す決意です。ファンの皆さま、関係者の皆さまにおかれましては、直接お詫びを申し上げることに代えて書面でコメントさせていただきますことを、どうかお許しください。
あらためまして皆さまに心よりお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。
ASKA