松ケンで「の・ようなもの」続編決定
2011年12月に急逝した森田芳光監督(享年61)のデビュー作「の・ようなもの」(1981年)の続編「の・ようなもの のようなもの(仮)」(来年公開予定)が製作されることが16日、分かった。主演は俳優・松山ケンイチ(29)で、初の落語家役に挑戦。前作で主演した伊藤克信(56)をはじめ尾藤イサオ(70)、でんでん(64)が同じ役で登場し、同作で助監督を務めた杉山泰一監督がメガホンを取るなど、森田組による名匠へのオマージュとなる。
突然の別れから3年、森田組が集結して、伝説のデビュー作の“その後”を描くことになった。
「の・ようなもの」は、伊藤演じる二つ目の落語家・出船亭志ん魚(しんとと)が、尾藤演じる先輩・志ん米(しんこめ)や風俗嬢と交流する青春の日々を軽妙につづり、「森田芳光」の名を世に知らしめた。
今作は、前作の最後で真打ちになった志ん米に弟子入りした志ん田(松山)が、落語を辞めて行方不明になった志ん魚を探すために奔走する人情ドラマとなっている。
きっかけは、監督の月命日の度に集まった森田組の宴会だった。昨年初めに「回顧上映だけでなく、新しく発信しよう」という話が出て、その宴会が「の・ようなもの」で師匠の命日に落語家が集まっているようだと、自然発生的に続編製作につながったという。
作品全体に森田監督の遺志を込めた。森田組初参加だった「椿三十郎」で監督から「感性が合う」と絶賛され、遺作「僕達急行 A列車で行こう」に主演した松山に白羽の矢を立て、伊藤、杉山監督ら前作のキャスト、スタッフも集結した。
松山は「奇をてらわず人間そのもののおかしさが出せたら」と宣言。今春から約半年の、本物の落語家から教わる“落語修行”を経て、人間の面白さ」を徹底して描いた森田イズムを表現する。
今月5日に栃木県日光市でクランクイン。同30日にアップし、年内の完成を予定している。