小渕優子経済産業相（４０）は１８日、関連政治団体が支持者向け観劇会の一部費用を負担した疑いが指摘されている問題の責任を取り、閣僚を辞任する意向を固めた。同日中にも安倍晋三首相（６０）に伝え、最終判断する。政府関係者が明らかにした。閣僚辞任となれば、第２次安倍内閣では初めてで、政権運営への打撃は必至だ。小渕氏は同日、公務で愛知県に出張する予定を急きょ取りやめた。

　関係者によると、小渕氏は当初、政治資金をめぐる調査後に進退を判断する予定だったが、混乱が長引けば野党が他の閣僚批判も含めて攻勢に出て、国会審議が停滞し、政権全体への影響が避けられない情勢を勘案した。

　これに関連し、政府筋は「情勢は厳しい」と指摘した。自民党幹部は「辞任の流れは変わらない」と述べた。

　出張キャンセルは経産省がこの日午前に発表した。「現地での混乱を避けるため」と説明している。小渕氏はこの日午後、三菱重工業の小牧南工場で開かれる三菱航空機の国産初の小型ジェット旅客機「ＭＲＪ」（三菱リージョナルジェット）の機体完成記念式典に出席する予定だった。

　安倍首相はこの日午後、伊ミラノでのアジア欧州会議（ＡＳＥＭ）首脳会議出席を終え、政府専用機で羽田空港に帰国。小渕氏と近く会い、進退問題を最終判断する見通しだ。

　首相は、地域活性化を目指す「まち・ひと・しごと創生法案」などの重要法案を抱えており、早期の事態収拾を図りたい考え。与党内や世論の動向をにらみながら、菅義偉官房長官（６５）らと慎重に今後の対応を協議するとみられる。

　第２次安倍内閣の目玉で、将来の首相候補ともうたわれた重要閣僚が“政治とカネ”問題で転んだことは、政権にとって大きな打撃となりそうだ。