嶋尾康史氏、今度こそ和田監督を胴上げ
元阪神タイガースの投手で俳優の嶋尾康史(46)が、日本一を目指し戦う古巣にエールを送った。和田豊監督は、退団し俳優業に転身した嶋尾の後援会を立ち上げてくれた敬愛する先輩。和田監督の胴上げを見るのが嶋尾の念願だという。また「日本一早いマジック点灯」で知られる兵庫県尼崎市の商店街では、日本一までのカウントダウンボードがめくられた。
嶋尾は決戦に臨む虎の将をまた違った感慨で見つめている。「面倒なことを、自分から率先して担ってくれるんです。こんな人、そう滅多にいませんよ」
映画「ミスター・ルーキー」(2002年)の出演など幅広く活躍している彼は、1996年まで在籍したタイガースで先発、中継ぎ、抑えと、チームのためにフル回転し続けた。
引退して役者になった後の2010年、和田監督にこう言われたという。「お前を支える組織が必要だよ。俺が会長になってやるから」。違う世界で苦労する後輩に感じるものがあったのだろう。自ら声を掛け、後援会を立ち上げた。
10年で終わった嶋尾の現役生活は、阪神の「暗黒時代」と重なっている。優勝に一番近づいたのが92年。「あの年もしCS制度があったら、2位だったら僕たちにもチャンスがあったかもしれない」。だから、今回のシリーズに寄せる思いもひときわ違う。
「ファイナルSで巨人を破った時、配慮から行わなかった胴上げを、今度こそやってください。ナインの皆さん、どうかどうか、和田豊さんを空高く胴上げしてください。お願いします」