巳之助、三津五郎さんの芸「究極の形」

 21日に膵臓(すいぞう)がんのため59歳で亡くなった、歌舞伎俳優坂東三津五郎さんの葬儀・告別式が25日、東京・青山葬儀所で営まれた。会場には尾上菊五郎(72)、SMAPの木村拓哉(42)ら約5000人の弔問客が訪れ、三津五郎さんに最後の別れを告げた。喪主を務めた長男の坂東巳之助(25)は「まだまだたくさん楽しい思いをさせていただきたかった」とあいさつし、涙を誘った。

 三津五郎さんとの別れを告げる列はいつまでも途切れることがなかった。

 訪れた多くの関係者、知人、ファンに巳之助は、喪主あいさつで自身の思いをストレートに語った。「父の芸は誰にでもできる小さな努力を、誰にもまねできないほど膨大な数、積み重ねたもの。尊敬します。1つの究極の形です」。日々、芸を磨いてきた、表には見せない父の姿を明かし、その偉大さをたたえた。

 一方で、2度の離婚を経験した女性関係の奔放さも“ネタ”にした。「芸に対するまじめさはどこにいったのかと思うくらい。プライベートの自由さのおかげで苦労もしました」と笑わせ、人間味あふれる三津五郎さんの素顔を紹介。「まだまだたくさん教えてもらわなければいけないことがありました」と師でもあった父の死を悼んだ。

 紋付きを着た遺影は、2009年に撮影されたもの。周りは約4100本の白とブルーの花で装飾され、祭壇には同年に贈られた紫綬褒章も飾られた。戒名は「香藝院爽進日壽居士(こうげいいんそうしんにちじゅこじ)」。客席にまで香りがただようような芸を見せ、人として役者として精進してきたという意味がこめられている。

 24日に営まれた密葬では、ひつぎに歌舞伎舞踊「喜撰(きせん)」で使用する「花錫杖(はなしゃくじょう)」や「姉さんかぶり」が収められた。13年6月に歌舞伎座のこけら落とし興行で三津五郎さんが使用したもので、病気が発覚する以前から「おれが死んだらこれは入れてほしい」と言っていたものだった。ほかに稽古扇子、趣味だったお城の本などが収められた。

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