半世紀にわたって幅広く活躍し、「キンキン」の愛称で親しまれたタレントで俳優の愛川欽也（あいかわ・きんや、本名・井川敏明＝いがわ・としあき）さんが１５日午前５時１１分、肺がんのため都内の自宅で死去していたことが１７日、分かった。８０歳。東京都出身。この日、都内で密葬が行われ、遺体は荼毘（だび）に付された。

　愛川さんは俳優座出身で、１９６０年代に声優として頭角を現した。代表作にアニメ「いなかっぺ大将」のニャンコ先生、米俳優ジャック・レモンの吹き替えなどがある。

　７０年代に入るとＴＢＳラジオ「それゆけ歌謡曲」「パックインミュージック」のパーソナリティーでブレーク。テレビでは日本テレビ「１１ＰＭ」、フジテレビ「なるほど！ザ・ワールド」などの司会を務め、温かな人柄と巧みなトークで人気を博した。うつみとはＴＢＳ「シャボン玉こんにちは」の司会など多数共演。「アド街」では２０１４年９月、「世界最高齢の情報番組司会者」としてギネス記録に認定された。

　俳優としての代表作は、自ら企画し７５～７９年に１０本が製作される人気シリーズとなった東映映画「トラック野郎」。「やもめのジョナサン」を演じ、「星桃次郎」役の故菅原文太さんと名コンビを組んだ。テレビドラマにも多数出演し、テレビ朝日系「西村京太郎トラベルミステリー」シリーズで１２年まで３０年以上にわたって演じた亀井刑事が当たり役となった。

　近年は９８～１２年にＣＳの「パックインジャーナル」で司会を担当。００年に「劇団キンキン塾」を結成、０９年には都内に劇場「キンケロ・シアター」を開設して公演を行った。映画製作にも熱心で、今月１８日から同劇場で監督８作目となる主演映画「満州の紅い陽」が公開に。２０１２年には有料インターネット放送「ｋｉｎｋｉｎ．ｔｖ」を開設した。