昨年９月に胃がんを公表し、闘病中だったフリーアナウンサー・黒木奈々さんが１９日午前２時５５分、都内の自宅で亡くなった。３２歳だった。通院しながら週１回出演していたＮＨＫ　ＢＳ１「国際報道２０１５」を７月１３日を最後に休養。１カ月ほど前から入院し、治療を続けていたが、復帰への願い叶わず、帰らぬ人となった。

　入院中も見舞いに行き、最近もメールなどでやりとりを続けていた事務所スタッフは、「いつか良くなって復帰したいと思っていました。再度治療を続けながら、復帰を目指していました。もう一度、あの場所に…スタジオに帰りたかったと思います」と黒木さんの無念な思いを代弁した。

　黒木さんは上智大学外国語学部フランス語学科卒業後、毎日放送（ＭＢＳ）で報道局記者経験を経て０７年２月に退社。昨年４月、「国際報道２０１４」で長年の夢だったキャスターに就任した。

　しかし、同年７月末に胃潰瘍の治療を受け、その後の検査で、胃がんが見つかり、９月１０日にＨＰで公表。９月下旬に全摘出手術を受けた。ステージ３だった。その後は、入退院を繰り返し、抗がん剤の副作用に苦しみながらも、今年１月４日放送の「国際報道２０１５」で４カ月ぶりに１日限定でテレビ復帰。やせた体を隠すため、腹巻きを巻いていたという。

　３月末からは毎週月曜の限定で、同番組にレギュラー復帰。通院を基本に、自宅療養を続けていたが、体調が再び悪化。７月１３日が最後の出演となった。

　黒木さんと同じ事務所「セント・フォース」に所属し、３８歳で大腸がんの切除手術を受けたフリーアナウンサー・原元美紀（４６）は、ブログで「今も心が重く沈んだ気持ちでいます」と心境を明かすとともに「生きた時間は短かったかもしれないけれど、キャスターになるという夢を自分の手でつかみ取ったことやがんと闘うすべてを書籍などで語り、多くの人に胃がんについて正しい知識や理解を伝えようとしたことなど、精一杯自分の人生を生きられたのではないかと思います」との言葉を捧げた。