五輪エンブレム 劇場は訴訟取り下げ
白紙撤回された2020年東京五輪の旧エンブレムをめぐり、ベルギー東部リエージュにあるリエージュ劇場は21日、国際オリンピック委員会(IOC)に使用差し止めを求めた訴えを取り下げると明らかにした。IOCも同内容を発表した。
一方、劇場と共に提訴したロゴのデザイナー、オリビエ・ドビ氏は22日、リエージュの裁判所で行われた初回審理で、訴訟を続ける考えを示した。裁判所は来年2月2日に弁論期日を設定した。
ドビ氏は審理後、記者団に「IOC側はエンブレム撤回が劇場ロゴとの類似のためだと認めていない」と訴訟継続の理由を説明。IOCから訴訟を継続すれば名誉毀損(きそん)で訴えると示唆されたことを明らかにした。
IOCの代理人、ブノワ・ファンアスブルック弁護士は旧エンブレムを手掛けた佐野研二郎氏による盗用やIOCのドビ氏への圧力を否定し、「なぜ訴訟が続くのか理解できない」と話した。
劇場とドビ氏は8月、旧エンブレムが劇場ロゴに類似しているとして提訴。劇場の代理人アラン・ベレンブーム弁護士は「IOCとの合意により訴えを取り下げる」としている。ベルガ通信によると、劇場は「IOCの説明や佐野氏のエンブレム撤回を踏まえ、権利が侵害されないと確認した」と表明。10月初めに取り下げ手続きを行う。
大会組織委員会は今月1日、佐野氏がデザインした大会の公式エンブレムを撤回し、新たに選考し直すことを決定した。