熊倉一雄さん死す“生涯現役”貫いた
海外テレビ「ヒッチコック劇場」のヒッチコック監督の吹き替えや人形劇「ひょっこりひょうたん島」の海賊トラヒゲの声などで知られる、俳優で演出家の熊倉一雄さんが12日に直腸がんのため、都内の病院で亡くなったことが16日、分かった。88歳。東京都出身。葬儀は親族のみで営まれる。12月1日午後2時から東京都渋谷区東3の18の3、恵比寿・エコー劇場でお別れ会を開催予定。
テレビ黎明(れいめい)期から声優の草分け的存在として活躍し、演出家兼俳優として舞台にも心血を注ぎ続けた熊倉さんが、静かに人生の幕を下ろした。
エコー劇場で、この日初日を迎えた舞台「諸国を遍歴する二人の騎士の物語-ドン・キホーテより」に出演予定だったが、体調不良により降板していた。関係者によると、8月までは元気に仕事をこなし、代表を務める劇団テアトル・エコーの研究生のための舞台演出を手掛けていたという。
熊倉さんは学生時代から芝居に興味を示し、1953年に開局直後の日本テレビに入局。その後、56年には劇団テアトル・エコーに参加、喜劇を中心に舞台に取り組んで、声優業もこなした。69年からは演出家としての活動もスタート。80年代に放送されたNHKの教育番組「ばくさんのかばん」では、キャラクターのビーバーとの名コンビで、子どもからも人気を集めた。
アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌も担当。NHKの連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」がヒットした2010年には、紅白歌合戦の企画コーナーで同曲を披露した。
91年に紫綬褒章、98年に勲四等旭日小綬章をそれぞれ受章。「役者に定年なし」と“生涯現役”を掲げていた熊倉さん。輝かしい功績でテレビ史にその名を刻み、天国へと旅立った。
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