悲願達成サブちゃん淀で「まつり」熱唱
競馬のG1・菊花賞が25日、京都競馬場で行われた。牡馬3冠最終章を制したのは演歌界の大御所・北島三郎(79)の所有馬キタサンブラックだった。通算12度目の挑戦でこれが悲願のJRA・G1初制覇。クラシック追加登録料200万円を支払って参戦した執念が実り、レース後には代表曲「まつり」の替え歌を熱唱した。
夕暮れの淀が「まつり」一色となった。紅白歌合戦でも歌のステージでもない。ここは京都競馬場。「勝ったら歌う」の公約通り、今年のクラシック最後の大一番をキタサンブラックで制覇したサブちゃんが勝利の“凱歌”。見事に“大トリ”を飾った。
ひときわ大きな歓声で迎えられ異例のオーナー勝利インタビューに臨んだ。待ってましたとばかりにスタンドへ「ウォ~!」と雄たけびを上げ「サビから始めるので、手拍子をお願いします」とリクエスト。そのリズムに乗って歌声を響かせた。
♪ま~つりだ!
♪キタサンまつり~
♪これが競馬のまつり~だよ~
代表曲「まつり」の歌詞を競馬用に替えて熱唱。表彰式でのオーナーの歌唱など前代未聞のこと。歴史に残る“ステージ”に「手拍子のリズムがバラバラで歌いにくかったな。紅白よりこっちの方が緊張したよ。ドキドキした(笑)」と夢ごこちに酔いしれた。
これまで何度も挑戦しては跳ね返されて、キタサンブラックでようやく手にしたG1の勲章。京都入りする前には、東京・早稲田の穴八幡宮へ出向き馬頭観音へ必勝祈願。さらにお守りも購入し、当日に同行するスタッフ全員に配った。この日も、黒地、茶色の横じま模様というキタサンの勝負服と同じ、茶色のスーツに黒いシャツというコーディネートで、同じカラーの勝負ネクタイを着けた。そんな縁起担ぎも生きた。
レース中は、双眼鏡で冷静に展開を見守っていたが、直線に入り愛馬が抜け出すと「いけ~!」と何度も絶叫。勝った瞬間は、声にならない声を上げた。スタンド中から拍手で祝福され両手を突き上げ「ありがとう!」と応え涙を流した。そして「よし!歌うぞ~!」と表彰式に向かった。アカペラながら歌手業と同じく専属音響担当者が、マイクの音のバランスを整えた“ステージ”だった。
「言葉に表せない感動」とG1初制覇を喜び「G1を勝ったら歌うのが夢だった。皆さん喜んでくれたと思う」と笑うサブちゃん。「夢がかない皆さんも喜んでくれた。勝って歌うのはこれが最後だな」と、満足そうにこちらの“卒業”を宣言していた。