樹木希林 加藤さんに笑ってさよなら
ドラマ「寺内貫太郎一家」のお母さん役などで知られる女優・加藤治子さんが2日午前7時7分に心不全のため都内の自宅で死去したことが5日、明らかになった。92歳。東京都出身。加藤さんとドラマ「七人の孫」(1964年)や「寺内貫太郎一家」などで共演し、公私にわたって50年以上の親交があった女優の樹木希林(72)は、都内の自宅で本紙の単独取材に答え「大往生!加藤さんの人生、上出来よ」と、笑顔で思い出話を明かした。
亡くなった当日に加藤さんのマネジャーから連絡を受け、訃報に接した。「1週間前からだんだん弱って、静かに旅立った」と最後の様子を聞いた。
15人ほどでひっそりと行われたという4日の葬儀にも俳優の山崎努(78)らと参列。一緒に骨を拾ったという。対面した加藤さんの顔を「シミ一つなく、きれいだった。生前に浅田美代子ちゃんと3人で、整形手術を受ける話を冗談でしたけど、その必要がないくらい」と思い返した。
「加藤さんがいなかったら役者をやめていたかな」と言うほどに加藤さんを敬愛していた樹木。「世の中や人間を見る目が凜として、常にきちっとしていた。かわいらしくて、志が高くて芸能人には珍しい方だった。『寺内貫太郎』も加藤さんが一本筋を通していたから成立した作品」。役で見せるイメージそのままの人柄を語った。
最後に会ったのは約1年前。「元気かな」と加藤さんの自宅を訪ねた。「足腰は弱っていたけど、家の中では歩いて階段も上がっていた」という。約1カ月前に加藤さんが電話をかけてきたのが最後の会話となった。「特に用事もなかったみたいだけど。私なんか言うこと聞かないから、嫌がられたのにね」と寂しそうに話した。