同時多発テロ パリ、阿鼻叫喚の惨状

 花の都が阿鼻(あび)叫喚の都と化した。パリ中心部の劇場や郊外の競技場近くなど少なくとも6カ所で13日午後9時(日本時間14日午前5時)すぎ、ほぼ同時に乱射や爆発が相次ぎ、市民ら128人が死亡、約200人が負傷した。実行犯は8人が死亡。過激派組織「イスラム国」は14日、犯行声明をインターネット上に発表した。オランド大統領は非常事態を宣言、14日のテレビ演説で「国外で用意周到に準備され、国内の共犯者を得て実行された」と述べた。地元メディアはフランスで「戦後最悪のテロ」と伝えた。

 13日の金曜日、惨劇の幕開けは繁華街のカフェだった。午後9時頃、客に向けて男が銃を撃ち始めた。男は向かいのカンボジア料理店も銃撃し、計10人以上が落命した。

 約20分後、オランド氏を含む観客ら約8万人が集った国立競技場「スタッド・ド・フランス」に爆発音がとどろいた。サッカー・フランス代表とドイツ代表の親善試合が行われていた会場の周囲3カ所で爆発が相次ぎ、爆音は中継でも流れた。

 競技場は大混乱に。観客らは不安げな表情でピッチに降り立ち、国歌ラマルセイエーズを歌いながら競技場を去った。爆発で自爆テロ犯3人を含む少なくとも4人が死亡した。

 ほぼ同じ頃、バタクラン劇場近くのカフェで、黒い服で素顔をさらしたままの若い男らが自動小銃を乱射し始めた。男らは劇場で行われていた米ロックバンドのコンサートに乱入。「アラー・アクバル(神は偉大なり)」「シリアのために」。叫び声を上げて立てこもった。男らは約1500人が中にいたとみられる劇場の後部に立ち、弾を装てんし直しながら10分以上にわたって撃ち続けた。

 「まるで鳥でも撃つようだった」。ラジオ局リポーターが居合わせていた。「恐怖の10分間、全員が床に伏せていた」。男らは会場の後ろに立ち、床に伏せた人々を次々と狙い撃ちに。「大虐殺だった。倒れた人を踏み越えて出口を探した」。男らが弾をこめ直す瞬間を見計らって逃げ出したリポーターらは、劇場の外で20~25人が道路に横たわっているのを目の当たりに。その多くが遺体だ。

 劇場近くのカフェやイタリア料理店も凶弾が襲った。イタリア料理店の実行犯はテラス席の客を撃った後で店に入り、兵士のような身のこなしで左右の客に発砲した。レピュブリック広場につながるボルテール通りでも自爆テロが発生。劇場に警官隊が突入したのは14日午前0時半頃で、男らが自爆し、突入から30~40分後に事件は収束した。

 パリまひ状態

 イスラム国は「忠実な戦闘員らが堕落した都を攻撃した」「8人の同胞が自爆や銃撃で、フランスの首都の心臓部を攻撃した」と犯行声明。14日のパリはディズニーランド・パリが休園するなど、文化・観光機能がまひ状態に陥った。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス